放送部指導の 理念と基礎知識 〜映像制作活動を通じた人間教育をめさして〜

平成22年度 第33回 校内放送指導者講座 講座3「番組講習」
放送部指導の理念と基礎知識
〜映像制作活動を通じた人間教育をめざして〜
東京情報大学教授 伊藤敏朗



2010年12月26日  於・千代田放送会館
主催 全国放送教育研究会連盟・NHK
共催 日本放送教育協会


当日の講演のパワーポイントをこちらに公開しました. 【8,188KB / 期間限定】



講演内容目次

  伊藤敏朗のHPに掲載された記事【目次の中にリンクをはってあります】もご参照ください



T.映像制作実践から学ぶもの 〜実践を通じて私が考えてきたこと〜

    番組制作は、高度な創作活動であり、豊かな人間教育となるものである
    映像でふりかえる私の教育観の変遷(教師としての‘学び’‘成長’ )
    「夢をみてプログラムして実行する」ことを知ること 〜番組制作は優れたプロジェクト学習 (『映像作品制作のワークフロー』 参照)

           参考上映
            ・東京情報大学における映像制作演習授業風景
            ・伊藤ゼミ作品『こころ北にありて』予告編
            ・伊藤ゼミ作品『こころ北にありて』メイキング』
            ・伊藤ゼミ作品『さよならサクラFM』千葉テレビ特番
            ・スタジオ演習におけるディレクター学生A君とB君
            ・JR四街道駅前電子公共広告提供プロジェクト
            ・千葉テレビ『情報大ステーション』最終回ダイジェスト
            ・伊藤敏朗監督作品『カタプタリ〜風の村の伝説〜』メイキング
            ・伊藤敏朗監督作品『シリスコフル〜花を散らす口づけ〜』予告編


U. 放送部指導者の役割 〜指導内容の言語化・体系化/生徒は指導者の背中を見て育つ〜

   1. 理念と目標を示す 〜夢をもつて学習者の成長を支援する
        1.1 放送部活動の目的
        1.2 メディア教育活動の目標「メディア・リテラシーの育成」「コミュニケーション能力の獲得」
        1.3 顧問の役割 「ハナシをつける」「ペーパーを作る(残す)」「日程・工程管理に目を配る」

   2. 安全と倫理を確立する 〜安全で真面目な部活動文化の構築  (『安全演習のためのガイドライン』 参照)
        2.1 安全の確立
        2.1 倫理の確立

   3. 活動を支える環境整備につとめる 〜管理と運用の要諦
        3.1 ドキュメントを整備する
        3.2 機動力を高めるための管理・運用方法(移動・運搬方法も含めた)の確立
           3.2.1 落とし物、落とし物、忘れ物、探し物は事故のもと、労力の無駄
           3.2.2 移動・運搬方法を考える
           3.2.3 機材や用品に名札ラベルをつける
           3.2.4 機材リストを作る

   4. 時間と作品を大切にする文化を形成する 〜締切りを守る日程管理/保存やパッケージにも力を注ぐ 
        4.1 時間・日程を守って有言実行する
        4.2 収録した素材(データやテープ)の紛失や誤消去を防ぐ習慣いつどこで何を収録したものか表示(記録)する
        4.3 作品のパッケージ/ポスター/チラシを作る

   5. フィードバックから学ぶ機会を多く持つ 〜作品は公表し多くの人々の批判から学ぶ 


V. 映像表現の基礎 〜必要な機材をそろえ、正しく使い、性質をよく知っておくこと〜

   1. カメラ
        1.1 フォーカス :ピント
        1.2 ズーム :画角とパースペクティヴ
        1.3 露出 :感度(+NDフィルタ)、シャッター速度、絞り
        1.4 色温度

   2. 三脚
        2.1 三脚操作の基本
        2.2 三脚と手持ちの切り替え

   3. カメラワーク
         参考上映
            ・番組に使うことのできない撮影素材
            ・フィックスによる撮影(ロング−ミドル−アップ/正面−右−左)
            ・「パン」の実例(『アメリカのアメリカの夜』から)

   4. 照明

   5. 録音 『マイクの種類とチェックポイント』 参照)
        5.1 マイクの基本を知り正しく使う
        5.2 発言や状況を明瞭に録音する

   6. 編集
        6.1 ノンリニア編集機の機能を使いこなす
        6.2 映像の編集
        6.3 音の編集
        6.4 音楽の編集
        6.5 テロップの編集
        6.6 図表やイラストの作成と利用
        6.7 編集に要する時間の管理/工程監理
         参考上映
            ・ノンリニア編集機による音のズリ上げ、ズリ下げ
            ・BGMを濫用した例と、素材の音を生かした例/音楽の終わりを番組の終わりに合わせた例
            ・「パン」の実例(『アメリカのアメリカの夜』から)


W. 映像表現の基本概念

   1. カット(ショット)とシークエンス

   2. カメラユビキティ 〜カメラはどこにでも存在でき、かつどこにも存在しないという黙契  ( 『Camera Ubiquity〜カメラの遍在性〜』 参照)
         参考上映
            ・『Camera Ubiquity〜カメラの遍在性〜』


   3. イマジナリーライン 〜登場人物の間にひいた仮想線(位置関係の混乱を避ける概念)
         参考上映
            ・イマジナリーラインを無視した作例と、守った作例


   4. サイズとアングル
        4.1 サイズ
        4.2 アングル(ローアングル−ハイアングル) 
        4.3 サイズとアングルを変えながら撮る

   5. 構図
        5.1 的確な「構図」で情報を整理して伝える
        5.2 被写体:主体と状況
        5.3 バランスのとれた構図でハリのある「絵」を撮る
        5.4 人物撮影の基本(ウエストショットより寄る場合)
         参考上映
            ・対象を遠巻きにして撮っている例と、肉薄して撮っている例


X.番組構成の方法と課題

   1. 企画  『プレ・プロダクションと撮影準備』 参照)
        1.1 ドキュメンタリー番組に求められる3つのポイント
        1.2 素材(テーマ)の発見、選択
        1.3 アプローチとスタイルを検討する
        1.4 実現可能性を検討する
        1.5 レトリックで番組を面白くし、そのねらいを明らかにする

   2. 構成の技術
        2.1  「KJ法」から「串ダンゴ」へ
        2.2  スタイルとレトリック−三幕構成(スリーアクト・ストラクチャー)と起承転結
        2.3  ドラマティックな脚色

   3. ナレーション
        3.1 ナレーションの文字数
        3.2 文章表現と映像番組のナレーションは違う

   4. 現場の取材力
        4.1 必要な素材を集める
        4.2 よい取材に必要なこと
        4.3 現場における取材力

   5. インタビュー  『番組インタビューの理論と方法』 参照)
        5.1 インタビューのスタイルと方法
        5.2 インタビューの技術
        5.3 インタビューで聞き出す (語ってもらう・言わせる)もの

   6. テンプレートを超えて  『ニュースの構成〜2つのテンプレート〜』 参照)
         参考上映
            ・同じショットを違うねらいで構成してみた二つの例
            ・情報大ステーションの番組から−インタビューの重層的な構成



 

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