3.形態に関する事項の記述方法について

3.1 視聴覚資料の形態的記述の要諦

 視聴覚資料の形態的な記述は、資料の収集・整 理・利用・管理保存の全ての面で大変重要なポイ ントであるが、その目録上の記録の要諦は、概ね 次のようにまとめることができるだろう。

1) 資料を再生する為の正確かつ必要十分な記録 がなされ、再生装置が容易に特定されること
2) 書誌的な表現が適切で、図書資料のそれと整 合性のある記述となっていること(用語など)
3) 資料の物性的な特性を明らかにし、保存や運 用上の適切な取り扱いができること

 1)2)について述べると、視聴覚資料・機器の規 格やバリエーションは、現在一般に普及している ものだけでも非常に複雑多岐に渡っている。図書 資料目録とも整合性を保ちながら、そのどこまで を、どのように記述すれば必要十分な情報となっ て、再生装置とマッチさせることができるかが要 点となる。目録規則に定められた用語の意味や順 序を正しく理解するとともに、必要によっては規 則に示されたもの以外にも新しい用例や用語が示 されることが望ましい。
 これに対し3)だが、視聴覚資料には複製資料と いう側面があり、一般に流通する(大量の)複製 された資料(プリント)と、その元の版となるも の(原版)とは通常、区別して考えられる。図書 館における収集対象は普通は前者であり、その限 りでは3)の問題は1)とほぼ同義に理解されて良か ろう。が、例えば映画におけるネガフィルムやビ デオにおけるマスターテープといった原版、また 非常に古い或いは貴重な映像資料を所蔵するアー カイブやライブラリーでは、その保存環境(温度 ・湿度等)や取扱いに格段の厳密さが要求され、 フィルムの材質やテープの世代といった事柄も正 確に把握されねばならず、 目録の上でも詳細な形態 的記述が行われているのである(後述 3.4補記を 参照) 。
 本論は図書資料目録と視聴覚資料目録の混配を 可能とするためのNCR87の検討が主眼であり、 以下の考察はあくまで視 聴覚資料の形態的特性を 図書のそれと整合性を保 ちつつ簡潔に表現することを目的としており、そ うした映像専門ライブラリーの目録規則に較べれ ば、資料の特性の記録方法としては限界があるこ とを承知している。
 ここでは世界の視聴覚資料目録規則には様々な ものがあり、その形態的記述も、より詳細な方法 は有り得るということを指摘しておくにとどめ、 一般の図書館利用者にとっての必要十分な記録方 法の標準化について考察を進めることとしたい。

   Fig.3.1 視聴覚資料の形態の系統樹的分類(略)


3.2 形態的記述の概念について

 NCR87における形態的記述の基礎理解のため に、その記録方法における概念を解説するととも に、AACR2における記述方法の概略を示し、 対照の参考とする。

3.2.1 資料形態の段階的理解について

 視聴覚資料の形態を記録するには、視聴覚資料 の系統樹的ないし段階的な分類・表現方法を理解 しておく必要がある。
 「系統樹的な」とは、各々の視聴覚資料の種別 や位置づけを、fig 3.1 のような系統樹的分類に おいて理解しようとするものである。
 また、「段階的な」とは、例えば一般的なビデ オソフトというものは、形態的には次のように段 階的に表現できる、という意味である。

  視聴覚資料
   →映像資料
    →ビデオ
     →カセット
      →VHS
       →Hi−Fi
        →ステレオ
         →カラー
          →ドルビーサラウンド
           →シネスコサイズ…

 このように視聴覚資料の形態は、系統樹的ない し段階的に、より大きな概念から小さな概念へと 枝分かれし或いは階層的に構成されて表現できる ということをまず理解しておきたい。

    Fig.3.2 主たる目録法における形態的記述総則の比較
   黒岩高明:視聴覚資料の目録記述に関する比較考察;
        図書館短大紀要No16(1979),p.139の表より転載

   Nonbook Materials (Canada)
     1.Number of pieces  
     2.Qualifier      
     3.Colour       
     4.Sound        
     5.Size        
     6.Duration      
     7.Accompanyig media  
  
   Non-book Materials Cataloguing Rules (LA)
     1.System statement 
     2.Extent      
     3.Enrichment    
               
   AACR2       
     1.Extent of item (including specific material designation)
     2.Other physical details
     3.Dimensions      
     4.Accompanying materials
                  
   ISDN(NBM)      
     1.Specific material designation and extent of item
     2.Other physical details 
     3.Dimensions of item   
     4.Accompanying material statement
                      
                      
    Fig.3.3 NCR87とAACR2(日本語訳)との比較表
                
   NCR87         
    1資料種別        
    2特定資料種別      
    3その他の形態的細目   
    4注記          
                
   AACR2        
    1一般資料表示(GMD…General Material Designation)
    2特定資料表示(SMD…Specific Material Designation)
    3その他の形態的細目   
    4注記          


3.2.2 目録規則における形態的表現の“段階性”

 多くの目録規則においては、資料の種別や形態 について、大きく4段階程度のエリアでこれを表 現することとなる。
 Fig.3.2 は、世界の主な目録規則を比較した黒 岩論文(参考文献1) からの転載、Fig.3.3 は、 このうちAACR2(日本語訳)を、NCR87と 横に並べて比較したものである。資料の形態的表 現を何らかの段階的な方法で行うというコンセプ トは基本的には共通していることがわかる。
 ただし、こうして横並びの関係でみると必ずし も同じレベルの切り口ではなく、AACR2とN CR87も、もともとの章だての考えかたが異なっ ていることもあって、それぞれが示すことがらの レベル・用語がくい違っていることもわかる。

3.2.3 AACR2におけるGMDとSMD

 AACR2における 1一般資料表示(General Material Designation) は“GMD”、 2特定資 料表示(Specific Material Designation)は“S MD”と略した用語が使われる。 

1一般資料表示(GMD)…任意規定
 「1.1 C1」に示された2つの表のうち1つを選 択して使用する。北アメリカにおいては次のよう な用語によって記録することが推奨されている。 

  motion picture(映画)   
  videorecording(ビデオ)  
  sound recording (録音物) 
  slide (スライド)     
  filmstrip (フィルムストリップ)
  taransparency (トランスペアレンシー)

2特定資料表示(SMD)を含む資料の数量

 「映画またはビデオ録画の物理的単位数は…場 合に応じて下記の用語の一つを付して記録する」 として次の用語と例が示されている(7.5B1.) 。 

  filmcartridge  
  filmcassete  
  filmloop    
  filmreel 
  videocartridge 
  videocassette  
  videodisc  
  videoreel    

  例)1filmcassette
    3filmreels  
    2videodiscs 

 このように、AACR2における特定資料表示 は、資料の数量を示す場合の英語的に必然性のあ る表現方法として位置づけられている。
 これを日本語に翻案しようとしても、「3映画 リール」というような表現は不自然であり、「映 画リール3巻」という表現になってくるわけであ る。この為、NCR87はこれを「特定資料種別」 の用語として独自に規定することとなったことが 理解される。

3その他の形態的細目

 その他の形態的細目は次の順序で記録する。

  画面の縦横比と映写法の特性(映画)
  録音特性    
  色彩      
  映写速度(映画)
  再生速度(ビデオディスク)

 また「7.7B. 注記 7.7B10.形態的記述」におい て「それが適切であり、かつそれだけの詳細さが 望ましい場合に」は、次の様な特性等を記録する ことができるとしている。

  録音特性    
  フィルムやテープの長さ(フィートで記載)
  色彩(彩色工程や色彩記録方式)
  プリント形式  
  フィルムベース 
  ビデオ録画方式 
  コピーの世代  
  特殊映写要件  
  その他のあらゆる物理的特性

 これらの幾つかはNCR87には見られない詳細 な事柄であり、AACR2の行き届いた配慮がわ かる。が、前出の黒岩論文では、これはAACR 1967に示された視聴覚資料に関する事項の不備を 関係者が強く批判し、AACR2に向けて修正を 重ねた結果であることが示唆されており、わが国 の学校図書館の視聴覚資料担当者の世論が湧くこ とも促しているのである。我々もまたNCRのよ り良き充実に向け、研究と提案を行っていくべき 義務を負っているのだと考えたい。

3.2.4 NACSIS-CAT におけるGMDとSMD

 学情のNACSIS-CATでも、資料の形態はまず、G MDとSMDという2つのエリアに、それぞれ規 定されたコードを記入して表現するようになって いる。例えばビデオカセットでは、GMDコード に「v」SMDコードに「f」、コンパクトディ スクなら、GMDコードは「s」SMDコードは 「c」となる。(参考文献2)

3.3 NCR87における形態的な記述方法

 以下に、NCR87における形態的な記述の具体 的方法を考察し、あわせて幾つかの用語・用例の 提案について中間報告を行う。

3.3.1 NCR87における形態的記述の“段階性”

 NCR87は、基本的に次の 1〜 4の4つの段階 で、資料の形態を表現するものと考えることがで きる。

   1資料種別   
   2特定資料種別 
   3形態的細目  
   4注記     

3.3.2 資料種別と特定資料種別

 「 1資料種別」と「 2特定資料種別」の為の用 語は次のように定められている。

1資料種別…任意規定(6.1.2, 7.1.2)  

 「録音資料」…レコード、オーディオテープ、CD等
 「映像資料」…映画、スライド、ビデオ、トランスペアレンシー等

 (なおNCR87においては、録音資料と映像資 料とが組み合わされた資料、つまりAACR2 における「マルチメディア」「キット」のような 用語はみられない)

2特定資料種別と数量

 視聴覚資料の特定資料種別の用語は基本的には 次のような語彙の組み合わせで決められ、それに 応じた数量の単位を用いることとなる。

 (頭の語)
   録 音 
   映 画 
   ビデオ 

 (後ろの語)
   カセット(巻)  
   リール(巻)   
   カートリッジ(巻)
   ディスク(枚)  
     :      


 従って第7章映像資料における特定資料種別と 数量の用語は次のように規定されることとなる。

(7.5.1.1 A)
 数量に「巻」を用いるもの…
  映画カセット      
  映画カートリッジ    
  映画リール       
  ビデオカセット     
  ビデオカートリッジ   
  フィルムストリップ   

 数量に「枚」を用いるもの…
  ビデオディスク     
  ビデオフロッピー    
  スライド        
  トランスペアレンシー  

3.3.3 その他の形態的細目

 「 3その他の形態的細目」は次の順序で記録す る。(7.5.2.2) 

  映写特性
  録画特性
  録音特性
  色彩  
  映写速度
  再生速度

 ビデオ録画の場合、録画特性は、「記録・再生 方式を記録」(7.5.2.2 B)する−つまり、VHS,ベー タマックスなどの規格を記録し、その再生速度は 「当該資料に表示されているとおりに記録する」 (7.5.2.2 F)。ベータマックスではβI,βIIな どと記録するが、VHS の標準速度は普通、表示さ されないので記録しなくても良い。従って多くの ビデオ資料では Fig.3.4のような記述例となる。
 なお、例示にもある通り、CAV,CLV とは普通に はレーザーディスクの一つの“種類”であって、 レーザーディスクの下位の概念である。
 従ってNCR87 7.5.2.2 D に示された下の例 は、形態の段階的な表記法から逸脱しており不適 切な例示として指摘できよう。

 NCR87の例   …ビデオディスク1枚△(82分)△:△CLV,△カラー
 正しい表記法   …ビデオディスク1枚△(82分)△:△レーザーディスク,△CLV,△カラー

    Fig.3.4 形態的記述のエリアにおけるビデオ資料の記述例

   ビデオカセット1巻△(152分)△:△VHS,△カラー          
   ビデオカセット2巻△(219分)△:△VHS,△ステレオ,△Hi-fi,△カラー
   ビデオカセット1巻△(123分)△:△VHS,△Hi-fi,△白黒       
   ビデオディスク2枚△(180分)△:△レーザーディスク,△CLV,△カラー
   ビデオディスク1枚△(90分)△:△レーザーディスク,△CAV,△カラー 
   ビデオディスク1枚△(50分)△:△VHD,△カラー           
                                     
    Fig.3.5 形態的記述の各エリアの目録カード上の表記イメージ(例)  
                               
   本タイトル△ 1[映像資料] △/△責任表示       
   出版地△:△出版者,△出版年              
    2ビデオカセット*巻△(**分)△: 3△VHS,△ステレオ,
   Hi-fi,△カラー                     
   注記1)                         
   注記2)                         
    4ドルビーサラウンド,△シネスコサイズ         


3.3.4 形態的細目と注記

1) 形態的細目と注記の表記に関する問題点

 「 1特定資料種別」につづく「 2形態的細目」 に記録する情報と、それを補って「 3注記」で記 憶すべき情報とは、どのように区別し、どのよう な用語で記録するべきかについては必ずしも明確 な規定は見られない。次のような具体例で考えて みたい。(Fig.3.5 は目録カードの上のイメージ)

  1資料種別…映像資料
  2特定資料種別…ビデオカセット1巻(20分) 
  3形態的細目…VHS,ステレオ,Hi-fi,カラー  
  4注記…シネスコサイズ,ドルビーサラウンド 

 ここでは形態的細目に、「VHS」という録画特 性(規格)、「ステレオ,Hi-fi」 という録音特 性、「カラー」という色彩を記録し、一方、「シ ネスコサイズ」や「ドルビーサラウンド」という 情報はこれと区別して注記で記録しているが、区 別の根拠となるものは規定にはない。シネスコサ イズを録画特性として、ドルビーサラウンドを録 音特性として形態的細目エリアに記録することも 考えられないわけではないのである。
 また規則上、これらの語は当該資料に表示され た通りに記録すべきであるが、現物には様々な表 記が混在しており、何らかの定まった表現方法が 示されて良いだろう。
 例えばハイファイ音声の表記を「ハイファイ」 とするか「Hi-fi」とするか、ベータマックスとい う規格を 「ベータマックス」「ベータ」「Beta」「β」 のいずれの表記で行うかなどの用語集のようなも のがあると便利だろう。
 実際、多くのカタロガーが視聴覚資料の目録作 成に負担を感じるのが、実にこうした用語・用例 の例示の乏しさにあると思われるので、何らかの 「形態的細目と注記の区切り方の基準、ならびに その用語・用例集」のようなものが提案されて良 かろうと考える。今回試作した別表は成案に至っ たものではないが、その基本的な考えかたについ て報告し参考に供したいと考えた。

2) 形態的細目と注記の区別の基準について

 形態的細目に記録すべき情報と、注記に記録す べき情報との区別の方法は、原則として次のよう な考えかたに立つことが良いと思われる。

  3 形態的細目で記録するもの…その資料を再生 するにあたって必須の特性(再生機材を選択するような特性)

  4 注記の事項で記録するもの… 3以外で、その資料を特徴づける形態的細目

 例えば、VHS という録画特性(規格)は、VHS という規格のVTR で再生しなければならないし、 S-VHS ならS-VHS のVTR が、VHS-C なら VHS-C用 のアダプターまたはVTRが用意されなければなら ないので、上記の 3に当たる情報である。
 これに対して、シネスコサイズという録画特性 やドルビーサラウンドという録音特性は、その資 料の形態的特徴を示すものではあるが、VHS とい う規格が合致していれば、それ以上の厳密さで再 生機械を選択しなくても基本的な映像・音声の再 生は可能であるので上記の 4に相当する。
 (シネスコサイズは、映画フィルム資料であれ ば、映写機にアナモフィックレンズを装着しなけ ればならないので、上の基準ではその情報は「 3 形態的細目」で記録すべき情報となる。しかしビ デオでは、それは再生機種を選ぶのではなく、再 生の結果として画面の上下がマスクされ、トリミ ングされずに見ることができるという意味なので 「 4注記」で記録すれば十分と判断される)

3) 形態的細目と注記の用例・用語表

 このような考え方に立った「形態的細目に記録 すべき情報と注記に記録すべき情報との区別の基 準ならびに用語・用例」についての提案を、Fig. 3.6 および 3.7に示す。
 この提案にも幾つかの検討課題が残る。たとえ ば、ハイファイという録音特性は、できれば Hi- fi対応VTR で再生した方が良い音で聞こえるが、 普通の Hi-fi録音のビデオ資料では、ノーマル音 声のトラックにも同じ音が録音されており(例外 はある)、 Hi-fiではないVTR でも、その音が聞こ えないわけではない。その点では Hi-fiという情 報は注記への記録でも良いとも考えられる。この Fig.3.6 において、 Hi-fiを形態的細目のエリア で扱っていることは、むしろ「ステレオ・ハイフ ァイ」という言葉が慣習的に定着しているという 事情を汲んだという側面がある。こうした例は他 の用語にもあり、今後も視聴覚資料についての表 現の慣行の変化によってある程度見直されていく 必要があろう。
 一方、2カ国語音声、2チャンネル音声の問題 は、これより更に問題が複雑である。規定を尊重 しつつ、実際の目録上、できるだけ簡潔かつ正確 な記述が行えるように、「チャンネル数に関わる 情報」を形態的細目に、「その各チャンネルにお ける内容(使用言語等)」は注記に記録する、とい  う用例を示している。この他にも必要があれば、 資料の再生上の特徴を正確簡潔な文章で注記して おく必要がある。

3.4 補記・フィルムアーカイブの目録規則に見る形態的記述の方法

 映像専門アーカイブの目録規則の代表例として は“The FIAF cataloguing rules for film archives”があげられよう。この規則では、例え ばフィルムについては“archival material”と して“original negative"“reversal original positive" “masterpositive" など8種類を、ま た“viewing material" として“viewing print/ reference print"と“distribution print" の2 種類を区別して記録し(同規則 5.2.1)、フィルム ベースの素材は“nitrate"“safety-triacetate" “safety-diacetate" “polyester"の4種類を明 記する(同 5.5.1)、という徹底したものである。  またこうした専門アーカイブにおける収集対象 は、フィルムにしてもビデオにしても、そのクオ リティー(画質・音質)の高いものを収集・保管 することが多いが、それは大きな版のもの・かさ ばるもの、ということと同義であり、具体的には 1つの作品が数巻のリールやカセットに分かれる ことが多い。そこで数量の記録の仕方も「全部で はm巻あるうちのn巻」といった表現となり、m =nなら全巻揃いを表し、違っていれば、何巻か を欠いていることを表す。またその長さを(再生 時間ではなく)メートルやフィートで示す。従っ て同規則における資料の形態的記述とは、例えば 次のようなものとなるのである。

Duplicate negative : 3 reels of 4 (r1,3-4) (6190 ft.); 35mm. N.,b&w, si./
 =全4巻のうちの第1,3,4 の3巻があって2巻 目を欠く,6190フィートの35mm幅ナイトレイト製 (可燃性) のサイレント(無声)の白黒の複製さ れたネガフィルム

 このように、同規則は図書資料の目録規則のそ れと、かなり異なったフォームを持っているが、 学情のNACSIS-CATの参照MARCである LCXには、映 像資料の形態に関する事項の記述をこの規則に拠 っているデータが多くあり、今後の世界的な書誌 データの共有化が進む上で、我々にとって身近な 規則の一つとなることも考えられる。

    Fig.3.6 ビデオ資料目録における形態的細目で記録する情報とその用語

    1.録画特性(規格)について:   
       VHS ,ベータマックス, Uマチック,8mm ,レーザーディスク, VHD などと記録する
         CAV,CLV :(レーザーディスクに続けて)CAV ,CLV と記録する
         S-VHS,VHS-C :S-VHS , VHS-C, S-VHS-C  と記録する
                   
       ハイバンド化にについて 
         ハイバンド・ベータマックス, ハイバンド8mm などと記録し
         必要に応じてシフトした周波数を記録する
                            
       放送標準方式 (NTSC以外の場合のみ) PAL ,ECAM と記録する
                  
    2.録音特性について:ステレオ と記録する(モノラルは記録しない)
       ハイファイ:Hi-fi と記録する音声チャンネル 
       ステレオ以外の音声について:  
        2ヵ国語(日本語・英語):2チャンネル音声 などと記録し
        使用チャンネルについて注記に詳しく記録する(下表の2)
                      
    3.色 彩:カラー, 白黒, 一部カラー, 一部白黒 と記録する
                      
    4.再生速度:当該資料に表示されている通り記録する
          (普及している殆どのビデオ資料について記録する必要がない)
                     
      資料の大きさ:方式等の記録によって明らかな場合は記録しない(普及してい
            る殆どのビデオ資料について記録する必要がない)


    Fig.3.7 ビデオ資料目録における注記で記録する情報とその用語

    どのような情報を形態に関する注記として扱いどのように記録するか

    1.画面の縦横比率 ビスタサイズ、シネスコサイズ などと記録する

    2.録音特性について ドルビーNR、ドルビーCX、ディジタル録音 などと記録する

     *ステレオ以外の音声チャンネルの内容について
      2ヵ国語音声(Lチャンネルに日本語と英語,Rチャンネルにに英語)
      2ヵ国語音声(Aチャンネル日本語,Bチャンネル英語)      
      2チャンネル音声(Aチャンネルに音楽と効果音,Bチャンネルに解説)
     などと記録する

    3.版について オリジナル全長版、ノーカット版 などと記録する

    4.その他 必要に応じて(原則として情報源の標記を)注記する