おわりに

 以上、NCR87による映像資料目録の作成のポ イントを概説してきたが、タイトルや責任表示の とり方などの書誌的データの記録は、タイトルフ レームの確認が困難であったり、ほかの情報源が 曖昧であったりして、図書資料のそれと較べて、 色々な困難を伴うことは事実であろう。形態的記 述についての記録は、ある程度、ハードウェアに 関する知識も必要となってくる。
 それだけに、視聴覚資料の書誌データの共有化 とネットワークといったシステムづくりの大切さ を、益々痛感するのである。
 一方、市販されている視聴覚資料の書誌階層を 見ると、シリーズ名や巻次の付け方そのものに、 かなり恣意的な面も見られ、出版者自身の不慣れ を感じさせることが少なくない。あるいは出版者 の位置づけすら明確でないことが多い。このあた りの事情については、NCR87でも「近代的な出 版・流通制度が確立していない場合、出版関係の機 能と物としての製作の機能が混在していることが ある」(1.4.2.1)と指摘しているように、視聴覚資 料の出版・流通事情が未だ成熟の途上にあること を反映しているものとも言えそうである。
 そうした意味で、視聴覚資料の目録には、なお 様々な課題が残されているが、それぞれの図書館 で研究と工夫を重ね、適切な目録を提供して利用 者にサービス出来れば−そして図書館に蓄積され た図書資料のパワーと有機的に組織化し得れば− その効果には一層大きなものがあるだろう。
 図書館の目録規則は、利用者を含め、図書館に関 わる人々全員で作り上げてゆくべきものであり、 今こそ、現場の1人1人の生の声が必要なのではな いだろうか。その意味で我々図書館員は、弛み無 い努力と研究を続けていかなくてはならない。