はじめに−研究班活動の経緯と本論のテーマ

 当班の研究活動は、次の2つを大きな柱とした。

1)ISBD(NBM)=国際標準書誌記述・非図書資料(Non-Book Materials) の概訳。
2)日本目録規則1987年版による映像資料目録の作成における諸問題に関する研究。

 このほか当班では、各月例会のテーマとなった放送教育開発センター、ダイソメディア・サービス、NHKデータ情報部 、川崎市市民ミュージアム等における視聴覚資料組織法の検討、Dialogのファイルにある非図書資料データベース(A-V On Line, Magill's survey of cinema) の研究などを踏まえた上で、91年10月には研究班として学術情報センターを訪問、NA CSIS-CATにおける非図書資料の取り扱いと現状の問題点等について説明を受けるなど、積極的な研究活動を展開した。
 また91年に刊行されたばかりのFIAF(国際フィルム・アーカイブ連盟)の目録規則についても、簡単な検討を加えることができ た(後述 3.4 参照) 。

 これらの活動を通じて、当班では、

(ア) 放送局やフィルム・アーカイブ等の専門機関においては、それぞれの目的に適合した組織化が図られ、或いは詳細なカ タロギングがなされており、それぞれの種類の(非図書)資料だけの目録を形成するのであれば、その方法論には実に様々 な可能性が追求できる。

(イ) 一方、図書館における視聴覚サービスは、図書資料と視聴覚資料が有機的に結びついた、マルチメディアな学習環境の 構築にその意義を見いだすことができる。

 との観点に立ち、当研究班としては「図書の目録法(この場合、日本目録規則1987年版)によって視聴覚資料を記述する 」ための用例の紹介など、具体的な手法の研究がまず必要であろうとの認識に至った。
 実際の活動としては、1991年3月より、視聴覚資料の中でも映像資料、ことにビデオカセットの目録の採り方に目標を絞 り、各自がビデオを持ち寄ってその目録作成を試みた。そして各事項の問題点について討議を重ね、一定の結論を得て1991 年12月の研究発表会で発表した。

 以下はその内容について、
 1. 映像資料目録のポイントについて
 2. 映像資料目録の具体例について(例示) 
 3. 形態に関する事項の記述方法について
 4. 書誌階層の捉え方について 

 それぞれまとめたものである。(なお、本論における( )内の数字は規則上の該当項目を示す)