おわりに

 対象や目的を絞って、よく出来た視聴覚プログラムは、利用水準 の各段階に対して有効であり、かなり複雑で高度な内容でも効果的 に伝達できるのと同時に、受け手にたいして「それじゃあ使ってみ るか」という強いモチベーション(動機づけ)をひきおこすことが 認められている。
 また館員にとっては、どうすれば分かり易く説明ができるか、と いうことに悩みながら、何度も脚本を練り直していく作業そのもの が、自分の図書館、自分の仕事というものを再理解するための貴重 な体験であり、視覚的なわかりやすい表現(グラフィカルなデザイ ンの能力)や、よく吟味された説明の展開(論理的に話す能力)を 身につける上での良い訓練になる。メッセージの送り手としての体 験が、受け手あるいは媒介者としての図書館員の資質の向上にも役 立つのである。勿論、自館の映像記録として貴重な歴史資料を残す という面も見逃せない。
 またビデオには、作品を制作することのほかに、利用者教育の場 面そのものを収録・再生することで、演者の話し方や態度、進行の 方法を反省する材料にするなど、自分の姿を鏡に映して直していく ような使い方もある。これは利用者教育の方法の改善の為にぜひ実 行してみたいことのひとつである。