幽王の十一年申西夷犬戎(しんせいじょうけんじゅう)の大兵団が 都に攻め上りました。
この最初の報が幽王の耳に届いた時はすでに反乱軍の峰台は城内に迫っておりました。
幽王は急を告げるため離山の峰台に火を入れさせました。
たちまちに離山の山の端には火炎の列がしかれ銅鑼が鳴らされました。
けれども王宮には誰もやってきませんでした。
朝臣や武将たちはもはやのろしや銅鑼の音には振り向くこともなく、 のろし火はいたずらに夜空を焦がすだけでした。
程なく矢叫びの音が聞こえ始めたかと思うと早くも矢は宮内射ち込まれて来ました。
幽王とほうじは二人の寝所のこうらんに出ました。
城や町々からすでに火の手が上がるが見られ敵の兵のどよめきが刻一刻と迫っていました。
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