そのあくる月の夕べ、幽王はほうじの笑う顔見たさに三度峰台に火を入れました。
しかしこののろしを見てもうち騒ぐ人々はわずかでありました。
みな明るく燃ゆる山の端を見やり、そして絶望のおももちで首をうな垂れ 館へ帰って行きました。
この夜もほうじはやはり笑いませんでした。
「ほうじ。今宵も笑ってはくれぬのか?」と幽王は悲しくささやきました。
その時城内に女中どもの悲鳴が響きわたりました。
「申し上げます」従卒がかけこんできました。
「しんこうのお后さまが、ただいまお亡くなりに・・・」
Top