「おい あのほうじはなんと天主さまの宮に上がるとはな」
「それはあの娘の美しさは天下一。しかし、噂によれば・・・・」
「それそれ・・・ほうじは笑わないというではないか」
「うむ、春の祭りのときもな。道化達が、わざわざほうじの前に並んで技を尽くしたのだが、ほうじは頬一つ緩ませなんだ」
「なんと おぞましき笑いを知らぬ若き乙女」
ほうじの輿を見送る人々はほうじが生まれてから未だかつて くすりとも笑ったことがないという噂に眉をしかめました。
ほうじの輿入れの行列は何か不吉な予感を漂わせて人々の目に映ったのでした。
ほうじの籠は幽王三年晩春のある夕べ、宮廷に到着しました。
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