その年の冬 周の各地では地震が相次ぎました。
見る間に疫病が広がり人々は明日のかてをも持たずただやせこけた顔の目と目を 合せるばかりでした。
「あ〜 これも幽王様が民を顧みず祭事司るを忘れて国を亡ぼすしるし」
「それもこれも ほうじ の后が宮に上がってよりのこと」
「それじゃ あの呪わしい娘が周の定めを亡びにひきこんでおるのじゃ」
人心ますます麻の如く乱れる日々の中でも幽王はさらにほうじのことに没頭して おりました。
幽王は ほうじ の顔に突然現れ一瞬のうちに消えたあの怪しい美しいかすかな笑いを 忘れることができませんでした。
なんとかしてもう一度 ほうじ の笑いが見たい。
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