ドラエモン〜のび太のほのかな片想い〜  シナリオ


登場人物

  のびた/ 山崎洋介
  ドラエモン/ 海老澤優子
  未来からのお迎えの男1/ 坂本竜士
  未来からのお迎えの男2/ 佐藤陽弐
  担任の先生/ 伊藤敏朗



○ オープニング

  電車や車が動き始め、朝が始まろうとしている。目覚まし時計を止め、のびたが目覚める。
のびた「あっ!」
  のびた、寝坊する。

○ 教室

  遅刻したのびた、先生に怒られている。
先生「こらー!!のびた!」
  人が怒るのを見るのが怖いのびた。ふるえあがる。
先生「いつもいつも遅刻しやがって!お前、やる気あんのか?だいたい通用しないぞ?そんなんじゃ。もういい。帰れ。帰れ!」
  教室から出て行くのびた

○ のびたの部屋

  のびた、こたつで一人ごちている。
のびたのナレーション「僕はのびた。大学生。何をやっても駄目。そんな僕のところにある日、ドラエモンンがやって来た。」

  インターホンが鳴る。無視するのびた。
ドラエモン「あけてくださ〜い。いないんですか〜?」
  ドアを叩かれ、仕方なしに立ち上がる。のびたドアの穴から誰かを確認。様々な光景(砂漠・アルプスなど)が見える。信じられない様子ののびた。もう一度穴を覗く。するとヒゲがあり、どら焼きを食しているドラエモンがいる。不思議そうに部屋に戻ると、ドラエモンが勝手に入っている。のびた、驚く。落ち着いてから。
ドラエモン「いや〜大変だったんだよ。ここまで来るの。最近、寒くなったね〜。」
のびた「それよりあなた誰ですか?」
ドラエモン「私?私、ドラエモン。」
のびた「僕に何か用ですか?」
  ちょっとの沈黙
ドラエモン「ちょっと・・・いやだな〜勘弁してよ〜・・・名前は?」
のびた「僕、のびた。」
ドラエモン「のびた君、ラッキーだね!ドラエモンが来たんだよ!よかったね〜」
のびた「・・・・」
ドラエモン「じゃあ・・・とりあえず今日から住ませて貰うから。」
  のびた、呆然とする。ドラエモンはお茶をすすっている。
のびたのナレーション「そういうことで僕はドラエモンと暮らすことになった。」

○ 二人の共同生活。

  のびたとドラエモン、場所や時代を超えて遊びまわる。二人とも楽しそう。

  <インサートカット・次々に>
  江戸時代(江戸村)に飛ぶのびたとドラエモン
  南極探検する二人
  楽しげに歩く二人-など

のびたのナレーション「僕はドラエモンといて、気付いた・・僕は・・僕は・・ドラエモンの事が・・・だっ、駄目だ!はっ、はずかしい!・・・とにかく僕はドラエモンさえいれば良かったんだ。だけど別れは確実に近づいていた。」

○ のびたの部屋

  ドラエモンがいないのびたが家へ帰ってくると部屋が真っ暗でドラエモンがいない。インターホンが鳴る。のびたはドラエモンだと思っている。扉を開ける。
のびた「勝手に外に出るなって言った・・・・」
  のびたの前には二人のスーツを着た七三ヘアーのメガネ男が二人立っている。

○ のびたの部屋

  のびたと二人の男がコタツに入って話をしている。
男1「そういうことでドラエモンは預かりました。」
のびた「ドラエモンとはもう会えないのですか?」
男1「はい。」
のびた「・・・どうしてもですか?」
男2「どうしてって?ドラエモンは忙しいんだ。世界を救うのが仕事だからね。それより君・・・おもしろい頭してるねえ。」
男1「僕達の頭にすれば!22世紀になったら流行るんだぜ!ほらこれ、ドラエモンが世話になったからモテモテポマード!あげるよ!コレさえあればもうねえ?」
  男同士、目を会わせて笑いあって、
男2「潤いっぱなし・・・はははっは!」
  のびた、男達の髪形をしばし見て、首を振りながら。
のびた「いいです・・・・・」
男2「じゃあこのメガネは?ミエッチメガネっていってね内臓まで」
のびた「要らない」
  男、ちょっと機嫌悪くなって沈黙する。
男1「そうですか・・・じゃあそういうことで・・・・おいとましましょうか?」
男2「そうですね・・」
  席を立つ男達を、のびたが追う。
のびた「ちょっと待って!どうしても会いたいんだ!」
男、のびたをのばす(音声のみ。扉で隠れて描写されない。扉が開いて、)
男1「未練がましいんだよ!」
  のびた倒れたまま動かない。男達はそのまま立ち去る。倒れているのびた。
のびた。顔をあげ、扉を眺める。しばらく扉を眺めるが、(扉のインサート)顔を床につけ、目を閉じる。 
のびたのナレーション「ドラエモンのところへ行きたっかった。だけど僕はのびた・・諦めた・・僕はドラエモンに忘れられるのが怖かった。だから僕は眠った。」

○ のびたの部屋(翌朝)

  (朝を象徴するカット)目覚まし時計が鳴る。びっくりして何が起こったかわからない様子ののびた。のびたに毛布がかけられ、傷の手当てまでされている。不思議そうな様子ののびた。何かに気付く。(一枚の書置き)のびた、その書置きを手に取り、眺める。

○通学路

  のびた、朝日を浴びながら学校に向かう。ドラエモンのことを考える。

  <インサートカット>
  のびたの部屋の壁に貼られた書置き。どこでもドアから手を振るドラエモンの絵と文字。
ドラエモン「遅刻しちゃうよ!」

  ドラエモンへの思いを胸に学校に向かって歩いていくのびた。エンディング曲が流れる。

―終