文書には、文書の論理構造以外に、文書の表現様式といえるものがある. たとえば、箇条書きの書式や引用文を使う書式などがあり、それぞれの書式に応じて文書表現を工夫して文書をさらに読み易くすることができる.
LaTeXではこうした文書様式の表現を『環境』という形式で提供している. 環境の指定は
\begin{環境名}
指定した環境名の様式で表現したいLaTeX文章を記述する
\end{環境名}
のように、利用したい表現様式を環境名を指定して,LaTeX文を\begin{環境名}と\end{環境名}で挟む.
このような記述方法はプログラム言語である pascal に似ている. 実際、TeXを考案したDonald Knuthはそのプログラムを最初 pascal で書いた.
LaTeXファイルで使われる環境にあるLaTeX文は任意のLaTeX文でよく,環境の入れ子も可能である. 次に代表的な環境の例をあげる.
\begin{abstract}論文などの文頭で文章全体の要旨を簡素に記載するときに利用. 『概 要』見出しとともにやや小ぶりの活字で表示される.
要約文書
\end{abstract}
キーワードを取り込んで、主張や得られた結果の要約を掲げることは、読者への配慮はもちろんのこと、情報検索への利用も期待されるので,文書には積極的に利用するとよい.
- center環境
- 改行で区切られた文や指定した図表を中心に配置することを中寄せという. 対応する(Netscape Navigatorで使える)HTML規約には
<CENTER> .... </CENTER>がある.- flushleft環境
- 改行で区切られた文や指定した図表を左に配置することを左寄せという.
- flushright環境
- 改行で区切られた文や指定した図表を右に配置することを右寄せという.
これらの文を寄せる環境を使ってつぎのように書く.
\begin{flushright} \LaTeX{}は世界中で\\ 利用されている\\ 文書整形の\\ 定番です \end{flushright} \begin{center} 君も\\ あなたも\\ 誰にでもできる\\ 簡単な\\ 入門 \end{center} \begin{flushleft} UNIX\\ Macintoshや\\ DOS-Windowsまで\\ どんなコンピュータでもOK \end{flushleft}
このとき出力は次の図のようになる.
\begin{quotation}
引用したい LaTeX文
\end{quotation}
対応するHTML規約としてBlock Quotation
<BLOCKQUOTE>
引用したい文
</BLOCKQUOTE>
構文がある.
\begin{verbatim}
逐語表現したい文章
\end{verbatim}
プログラムの記述など英数字はタイプライタ体で印刷される. LaTeX文章中では\verb|...|のように同じ記号(ここでは『|』)で挟んで使う.
対応するHTML規約にはPRE formated text <PRE> 逐語表現したい文章 </PRE> 構文がある.
\begin{itemize}
\item 箇条文
....
\item 箇条文
\end{itemize}
箇条書きの項目目印に LaTeX システムが適当なマークをつける. 箇条項目文章の前に\itemをつけている.
対応するHTML規約としてUnordered List<UL> <LI>箇条文 <LI>箇条文 ..... </UL>構文がある.
\begin{enumerate}
\item 最初の箇条文
....
\item 最後の箇条文
\end{enumerate}
箇条書きの項目順にLaTeX システムが自動的に順序数(数字やアルファベット)をつける.
対応するHTML規約としてOredered List<OL> <LI>最初の箇条文 ..... <LI>最後の箇条文 </OL>がある.
\begin{description}
\item[項目] 説明文
\item[項目] 説明文
.....
\end{description}
箇条項目名を\item[項目名]に指定して、これについての記述を箇条書きする.
対応するHTML規約としてDescription List
<DL> <DT>項目A <DD>説明文 <DT>項目B <DD>説明文 ..... </DL>構文がある.
環境文では,次のように環境内の文の中に環境をネスト,つまり環境文を多重化させることができる.
\begin{環境A}
......
\begin{環境B}
......
\begin{環境D}
.......
\end{環境D}
......
\end{環境B}
......
\begin{環境C}
........
\end{環境C}
\end{環境A}
環境A の文書の中に環境B と環境C が使われており,さらに環境B の中には環境D が使われている. このように環境の中でさらに環境を使うことを環境のネストという.
ネストさせる環境は,原則としてどんなものでも構わない. たとえば,箇条書の環境を次のようにネストさせてみよう.
% 環境あれこれ
\begin{enumerate}
\item 文章を引用する
\begin{itemize}
\item {\tt quote}環境
\item {\tt quotation}環境
\end{itemize}
\item 文を寄せる
\begin{enumerate}
\item {\tt flushleft}環境
\item {\tt center}環境
\item {\tt flushright}環境
\end{enumerate}
\item そのまま出力する
\item 箇条書
\begin{description}
\item[単純] {\tt itemize}環境
\item[列挙] {\tt enumerate}環境
\item[見出し付き] {\tt description}環境
\end{description}
\end{enumerate}
すると,上図の出力結果が得られる. いままでの例からもわかるように,LaTeXファイルは文構造タグを定めることによって最高度に美しい整形出力を実現するシステムである.
LaTeXファイルを書くときには,マークアップの論理的特性を生かすように書く習慣をつけてる. つまり,文書原稿の段階においても字下げ等を使って文書の論理構造を明示する書き方を工夫する. これはプログラム言語を記述するときと同じ態度である.
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mizutani@edu.tuis.ac.jp