コンピュータ講座
ファイルの組織的管理方法総合目次

コンピュータ講座 ファイルの組織的管理方法

ファイル管理の実際

mizutani@rsch.tuis.ac.jp
参考書『インターネット時代のコンピュータリテラシー』(水谷正大,共立出版)
目次
ファイル管理の実際
ディスクの使い方
ファイルおよびディレクトリ・フォルダー名のつけ方
ファイル名のつけかた
ファイル拡張子のつけかた
ファイル名の可搬性への配慮

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ファイル管理の実際

コンピュータの利用に際して,ディレクトリやフォルダーによって適切にファイル群を管理するためには次のような点に留意しなければなりません.

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ディスクの使い方

パソコンの利用,とくにパソコンのディスクをどのように使うかは,身近な問題だけに,その後のファイル管理と効果的な情報の再利用にとって決定的に重要なこととなります. Windows95やMacintoshなどのユーザーは原則的にはどのディスクのどの場所でも書き込み可能で,それゆえ無方針にディスクを使ってしまっている例が少なくありません.

一方,UNIXシステムでは,ユーザーが自由に利用できるディレクトリはシステム管理者から割り当てられたホームディレクトリだけです. したがってUNIXユーザーはこのホームディレクトリだけをいかに効果的に利用するかを考えればいいのです(UNIXのユーザーは,パソコンにたとえれば自分専用のディスクを持っており,他のディスクには書き込めないという状況にあり,無節操なファイル管理ができないようになっていると考えればいいでしょう).

パソコンを利用するにあたって次のように工夫します.

  1. 必ず専用のフォルダー(ディレクトリ),たとえばUNIXにちなんで homeを作成し,ユーザーが作成したり入手したすべてのファイル はこのフォルダー内に格納する.fg:home-folder そしてこのフォルダーをさらに用途別の専用のフォルダーで分割していく.

    この例では,UNIXにちなんですべてのユーザーファイルの管理場所として homeを作成している.

    一時的作業場所としてtempというフォルダーも作成している. home内はさらに用途に応じてフォルダーの階層を作成しておく.

  2. 一時的な作業のための専用フォルダー,たとえばtempもhome内に作成し,圧縮ファイルの解凍先や試験的なファイル利用など雑多な目的のために利用します. こうした一時ファイルの置き場所は,それぞれの専用フォルダーの中にも作成しておくと便利で,たとえばプログラムのコンパイルなどに活用します.

  3. 可能ならば,ハードディスクそれ自体を分割しユーザーファイル専用のディスク領域を確保する. このための作業は専門的で大掛かりである程度の知識が必要ですが,もっとも望ましいファイル管理の形態です. ディスクの分割は最低次の3つに分割するのがよいでしょう.

    ハードディスクを分割してファイル管理を行う理由は,ディスクの不調や破損によって出来るだけファイルの損失を防ぐという安全性上の理由以外に,不用意にユーザー領域以外の場所に情報を保存してしまうというミスの軽減があげられます.

    さらに技術的な理由として,コンピュータのパフォーマンスを低下させないという利点があります. ファイルを書き換えたり消去を繰り返している間に,ディスクのフラグメンテーション(分節化)が増大してきます. フラグメンテーションの増加によりファイルアクセススピードが低下することにより,全体としてのコンピュータのパフォーマンスが低下します. 繁雑に書き換え消去のあるユーザー領域を独立させ,さらにシステム領域とアプリケーション領域(ときにはアプリケーションの入れ替えや消去があります)を分割することによって,システム領域とアプリケーション領域のフラグメンテーションを解消することでパフォーマンスの低下を防ぐことが容易になるからです.

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ファイルおよびディレクトリ・フォルダー名のつけ方

ファイル名やディレクトリ名(フォルダー名)はどんな名前をつけようとも私達の自由です. しかし,場当たり的で無節操に名前をつけていけば,取り扱うファイル数が増加するにしたがって収拾がつかなくなり,せっかく蓄積した情報も再利用されることなく死蔵するばかりとなります. 無自覚で思いつきの命名は,ファイル管理を混乱に招くだけです. また,アプリケーションによってはファイル名に一定の制限(とくに拡張子)を課すものも少なくありません.

名前体系として首尾一環した組織的な方法を考察しておくことはきわめて大切です. 作成・収集したファイルは使い捨てにするものではありません.. いかにファイルを死蔵させないように維持管理するかが,優れたコンピュータ利用のポイントとなります. それゆえに適切なファイルやディレクトリ(フォルダー)の命名法はきわめて大切な情報処理過程をなすのです.

一見私達が自由につけられるはずファイル名やディレクトリ名(フォルダー名)はどのように決めればよいのでしょうか. 名前のつけかたの指針は以下のとおりです.

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ファイル名のつけかた

ファイル名としてどのような名前をつければよいでしょうか. 多量のファイルをどのように管理するかは,古来から図書館や博物館などで様々に工夫されてきました.

まず知っておかねばならないことは,私達はいとも簡単にファイル内容を忘れてしまうという事実です. 長大な大論文を時間をかけて完成するような場合は別として,私達は通常ネットワークなどを通じて刻々と多様で大量の情報を,それが本当に必要であるかに関らず(そもそも大量の情報にその時点で細かく目を通していることなどできません),適当な名前をつけてコンピュータに蓄積していくのです. このような局面でファイル管理を記憶に頼るのは最悪の方法です.

命名法の原則は,無意味なファイル名を排し,ファイル内容を正確に反映するような名前を考案し,将来の再利用が容易になるように工夫することです.

ファイル名は,あとからいくらでも変更できますが,一度は慎重に考えるべき重大事です. 私達は文書を印刷するためにだけコンピュータを使っているのではありません.

たとえば,経済に関するレポートをLaTeX ファイルとして書くときに,taro.tex のように自分の名前をつけてみたり,gjxzql.tex のように意味のない名前をつけるべきではありません. 少なくとも economics.tex ぐらいのファイル名を考えてください.

多くの仕事をコンピュータでこなすようになってくると,作成したり入手したファイルは膨大な数となってきます. このようなとき,ファイル名自体が貴重な手掛かりとなって目的のファイルを見出すことも可能となります.

コンピュータ利用の核心は情報の蓄積と再利用にあります. どんなファイルでも将来これを再利用する可能性を考慮してファイル名をつけるように心掛けます. 蓄積してきたファイル群を情報資源として活用し,それらからのペーストとして新たに論文等で再利用することこそコンピュータ利用の醍醐味です.

また,ファイル管理システムに連動して相対的にファイル名を決める場合もあります.

たとえば,アジア経済に関する一連の論文に economy1.tex, economy2.tex, economy3.tex, ... というファイル名をつけるやり方と,専用のディレクトリを作成してその中に置く同じ内容のファイルに, japan.tex, china.tex, korea.tex, ... と名づけるやり方のどちらが適切なのかは状況によります.

このようにファイル名の選定については,ファイルがどのディレクトリ(フォルダー)に納められるべきかというファイル管理方法全体からの判断も考慮されるべきで,ファイル名それ自体の問題だけでは収まりきらない場合もあります.

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ファイル拡張子のつけかた

ファイル名には,上のようにファイル内容を的確に表す目的のほかに,その"ファイルの性質や用途"を表すために使われることもあります. ファイルの性質・用途を表すという後者の目的のためにファイル拡張子が使われます.

ファイル拡張子とは,ファイル名の一部で"ピリオドから末尾"までです. たとえばsample.texというファイル名の拡張子は'.tex',またindex.en.htmlというファイル名では'.html'です.

ファイル拡張子がついたファイルの存在は,組織的な情報管理を容易にします. ファイル名に予約されたファイル拡張子を必要とするときには必ずその拡張子をつけます. たとえば,TeXやHTML文書には決められた拡張子をつけなければなりません.

.tex
LaTeX文書には必ずつけなければならない拡張子.
.html
HTML文書には必ずつけなければならない拡張子.

また,拡張子にはファイルの性格を表さねばなりません. エディタで作成する一般の文書は原則として次の拡張子をつけるようにします.

.txt
LaTeX文書やHTML文書またはプログラムやスクリプトファイル以外のテキストファイルにつけるべき拡張子です. ときには文書(DOCument)を表す意味で.docという拡張子も使われることがあります.

その他の注意事項には以下のようなものがあります.

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ファイル名の可搬性への配慮

最近のコンピュータ利用では,マルチプラットホームでの作業を考慮すべき時代となってきました. ネットワークを介して,あるいはフロッピーやMOディスクなどの移動記録媒体を使って,使用するマシンやオペレーティングシステム(OS)によらない作業の在り方を考えるべき時期にきています.

実際,Windows95やMacintoshなどのパソコンで作業して,ファイルをそれらの間であるいはUNIXに転送して作業を続ける(またはその逆)ような場合が多くなってきました. また,大学やオフィスのと自宅のコンピュータに加えてノートブックなどの移動型コンピュータの最低3台(しかもそれぞれ異なるOSであることもあります)を使い分けるようにもなってきています.

こうした問題については利用環境に応じて柔軟に対処するしかありませんが,ファイル名に関してはさまざまな問題が発生しうることは知っておくべきです.

とくに,漢字周辺の問題は深刻で

たとえ可能であったとしてもファイルやフォルダー名には 日本語名はつけない

ように注意してください. 現在のコンピュータ環境では,ファイル名に日本語(全角文字)を使うことは 絶対止めるべきです.

日本語化されているWindows95やMacintoshでは日本語ファイル名をつけることが可能ですが,多くのUNIXシステムではファイルの一覧には日本語が使えないのが実情です(日本語の文章が作成できないというわけではありません). 多機種にわたってコンピュータを利用しながら作業する場合を考えると,ファイル名には英数字を使わざるを得ません.

実際,コンピュータネットワークの発達により,自分の環境とは違ったマシンで作業しなければならない場合も発生してきます. 場合によっては,海外から自分のファイルにアクセスすることも少なくありません. このようなとき,使用するソフトウエアが日本語の表示ができないのは当然のこととなります.

残念なことですが,現状ではファイル名だけはとりあえず英数字で命名するようにします.

作成したり入手したファイルはその場限りの使い捨てではなく,将来に再利用することを考慮して保管すべきです. 異なるコンピュータシステムにファイルを移したり,遠隔操作によってアクセスしたときであっても,少なくともファイル操作だけは可能であるようにファイル名をつけておくことは絶対に必要なことです.

ファイル名に関する大文字・小文字の区別や可能な文字列の長さはOSやアプリケーションによって異なります.

UNIXやMacintoshでは
Windows95では
Window95のDOSプロンプトやMS-DOSでは

UNIX,MacintoshとWindows95の間ではファイル名の長さには制限がないように思われますが,FTPなどによってネットワークから直接ファイルを転送する場合を除いて違うマシンにファイルを移して作業しようとする場合にはさまざまな不具合が生じます.

さらに,UNIXやMacintoshで書いたテキストファイルとWindows95やMS-DOSで書いたファイルには改行コードの取り扱いが違います.
UNIX
文字コード OAh
Windows95およびMS-DOS
文字コード ODOAh
Macintosh
文字コード OAh
漢字コードの問題は依然として統一は取れていません.
しかし,たとえばフロッピーディスクなどによってファイルを持ち運ぶ場合にいくつかの制限が加わります.

このような混乱を未然に防ぐには

DOS のファイル名制限にあわせたファイル命名体系をとる.
ファイル名の長さの縮小に"強い"ファイル命名法を考える
などの対処法が考えられます. たとえば,大文字・小文字の組み合わせでファイルを区別するようなファイル命名法を避けるとか,Sport-Asia.tex を Asia-Sports.tex のようにファイルを区別するためのタグを前にもってくることなども考えられます. しかし,これらのことにあまりに神経質に囚われると統一的なファイル管理がやりにくくなる結果となる場合もあります. それぞれの考えに基づいて,試行錯誤を繰返して妥協点を見つけるより他ありません. 他に注意すべき点として,
ファイル名には特殊記号や空白文字を使わない
ことがあげられます. システムによって,特殊記号には固有の意味があることがあります. Macintoshでは空白文字をファイル名に混入させるやり方が広く行われていましたが,ファイル名には(半角全角を問わず)空白文字を使わないようにします. UNIXでは空白文字はファイルの区切りとして認識されるからです. このようなときには,ハイフン"-"やアンダーライン"_"を使います.

また,UNIXでは記号"/"を ディレクトリ・パスの区切りに使うために,ファイル名には記号"/"を使わないようにします. 一般的に,英数字以外の記号をファイル名の先頭や末尾の文字につかうことも避けるのが無難です.


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Last Revised at 9/04/1996