朝日新聞 2006年08月22日千葉版 【研究玉手箱】より


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 「映像」手段に社会参加

東京情報大助教授 伊藤敏朗さん


 東京情報大(千葉市若葉区)で、ビデオドラマやアニメなどの映像作品の撮影・編集の実践を学ぶ「映像ゼミ」を率いる。学生たちの作品はコンテストで高い評価を得たが、それだけでは飽きたらず、3年前から学外を巻き込んで挑戦しているプロジェクトがある。


 県内の高校生がリポーターを、ゼミの大学生がディレクターなどを務めて、地域の催しや高校生の活躍などを報告する番組「情報大ステーション」を仕掛ける。7〜12月の毎週金曜日夜、千葉テレビで放映している。


 番組は15分。毎回、違った高校の生徒が挑戦する。これまでに、四街道市の和良比はだか祭りなどの地域の催しや住宅の耐震診断をする市川工業高建築科の活動など、さまざまな話題を紹介した。高大連携教育の一環でもある。

 ゼミ生は1人1本以上の番組でメーンディレクターを務め、それを卒業研究につなげる。卒業生の約5分の1は制作会社や映像機器メーカーなど、映像関連の仕事に就くという。


 しかし、こうした活動の目的は、映像技術を学ぶことではない。番組作りを通して地域社会に学生が参加することだ、と伊藤助教授は言う。


 取材で地域に住む人の話を聞いたり、歴史に思いをはせたりして、地域に生きているという実感を持って欲しい。それが願いだという。


 東京農大卒。大学時代に自主制作映画に魅せられた。卒業後は同大の事務職員として、学術映画などを制作した。その後、系列の東京情報大に移り、教員に転じて7年目となる。

 「映像」を手段に、学生の目を社会に向けさせたい。教育者のキャリアは始まったばかりだ。(岡林佐和)