13 業務用ENGカメラ IKEGAMI DV7Wの操作方法
*この操作マニュアルは伊藤ゼミの学生が作成した学生向けのものであり、樺r上通信機とは関係ありません。本マニュアルにより生じるトラブルについて、本ゼミな一切の責任を負いません。
1.準備
1.1 三脚への取り付け
カメラを取り出し、三脚を使用する撮影であれば必ず最初にカメラを三脚に取り付ける。取り付ける際には、三脚のティルトロック・パンロック・ストッパーなどが全てロックされているか、毎回必ず確認する。
<三脚の取付方法>
@三脚にスケート(取付金具・「フネ」とも言う)を装着する。
Aスケートの溝にカメラの後部エッジを差し込み、いくぶん後方に押し込んで、エッジを引っ掛ける。
Bカメラの前部エッジを差し込んだ後、ロックレバーを締めてカメラを固定する。この時、カメラが完全に固
定されるまでレバーを押し込む。
Cカメラが三脚のスケートに固定されてガタツキがない事を確認する。
(注意)カメラにガタツキがあると、カメラの落下事故を招き、ケガをする恐れがある。
1.2 バッテリーの装着
@バッテリーは前日から充電して準備しておく。バッテリー残量のインジケータを確認する。
Aバッテリーはカメラ本体に2連装することができる。
1.3各スイッチのポジションの確認
POWERスイッチをONにする前に、次のスイッチやつまみなどが下記の所定のポジションに設定されているかどうかを確認する。
<レンズ>
・IRIS操作切替スイッチ→「A」
・ズーム操作切替スイッチ→「SERVO」
・エクステンダー切替レバー→「×1」
<カメラ右側面>
・光学フィルタースイッチ→「A」
・GAIN切替スイッチ→「0」
・AWB切替スイッチ→「AまたはB」
・OUTPUT切替スイッチ→「BARS」
・VTR STBY/SAVEスイッチ→「SAVE」
・AUDIO OUT/MONITORスイッチ→「MIX」
・POWERスイッチ→「OFF」
<カメラ前面>
・SHUTTER/SUP-Vスイッチ→「OFF」
<カメラ背面>
・バックタリースイッチ→「ON」
・AUDIO IN切替スイッチ→「MIC」
<ビューファインダー>
・TALLYスイッチ→「ON」
・ZEBRAスイッチ→「ON」
・リアタリースイッチ→「ON」
1.4 POWERスイッチをONする
1.5ビューファインダーとファインダー情報の確認
@ビューファインダーの位置を調節する。
Aビューファインダー内にカラーバーが映ることを確認する。
→もしカラーバーがきれいに映らなければ、BRIGHTつまみ、CONTRASTつまみ、PEAKINGつまみできれいになる様に調整する(もし不安な人は川口か伊藤先生に相談すること)。
BOUTPUT切替スイッチをCAM側に切り替える。
C適当な被写体にカメラを向け、フォーカスリングを回してピントを合わせ、ビューファインダーに適正な画像が映ることを確認する。
1.6自動絞り、電動ズーム機能の点検
@レンズのズーム操作切替が「SERVO」になっていることを確認する。
AレンズのズームスイッチをWまたはT側に押して、画像が広角、望遠と変わることを確認する。
Bレンズのアイリス操作切替スイッチが「A」(Auto)になっていることを確認し、カメラを明るさの違う被写体に向け、自動絞り機構が働くことを確認する。
Cアイリス操作切替スイッチを「M」(Manual)にして、明るさの違う被写体にレンズを向け、IRISスイッチを押している間、自動絞り機構が動くことを確認する。GAIN切替スイッチを「MID」、「HIGH」に切り替えたとき、同じ明るさの被写体でレンズの絞りが変わることを確認する。
1.7イヤホン、スピーカーの点検
(9.の「VTR部の点検」までは連続して行う事)
@VTR SAVE/STBYスイッチを「STBY」にする。
AAUDIO OUT/MONITORスイッチが「MIX」になっている事を確認する。
BMONITORレベル調整つまみを回して、スピーカーの音量が変わることを確認する。
Cイヤホンをカメラ前面のEARPHONEジャックに接続して、スピーカーの音が切れ、イヤホンからマイクの音が聞こえることを確認する。
DMONITORレベル調整つまみをもう一度回して、イヤホンの音量が変わることを確認する。
1.8外部マイクを使う場合の点検
@外部マイクの電源を確認する。
*マイク内部に電池が必要なマイクと、ファントム電源が利用できるマイクとがある。
A外部マイクをAUDIO INコネクター(CH-1もしくはCH-2)に接続する。
BVTRコントロールパネルのAUDIO INスイッチを「REAR」にする。
Cマイクを音源に向ける。
D表示窓のレベルメーター表示が音源の大きさに合わせて点灯することを確認する。
(注意)◆ファントム電源が利用できるマイクの場合は、「+48Vファントム給電」のモード=AUDIO IN切替スイッチを「+48」にする=で利用する。
◆音量については、最初に音量を絞っておき、徐々に音を大きくして適正音量にする。
1.9 VTR部の確認
@TCモードスイッチ-2を「R-RUN」にする。
ADISPLAYスイッチを「COUNTER」にする。
BEJECTボタンを押して、リサイクルテープなどを入れて、フタを締める。
Cカメラ前面のVTR STARTボタンを押し、録画を開始する。
D次の項目を確認する。
・テープリールが回転すること。
・テープ走行に合わせて表示窓の数値が変わること。
・ビューファインダー内のタリーランプが点灯します。
・表示窓のRFおよびSERVO表示は出ない。
EVTR STARTボタンをもう一度押し、録画を停止させる。
Fテープが止まり、ビューファインダー内のLEDインジケーター(R TALLY)の表示が消えることを確認する。
GレンズのVTRボタンを押す。
HDと同様の項目を確認する。
IレンズのVTRボタンをもう一度押し、録画を停止させる。
Jテープが止まり、ビューファインダー内のLEDインジケーター(R TALLY)の表示が消えることを確認する。
Kカメラ右側面のRESET(MENU SET)ボタンを押す。
L表示窓のカウントの数値が「00:00:00」になることを確認する。
MLIGHTスイッチを「ON」にする。
N表示窓が照明されていることを確認する。
OREWボタンを押して、しばらく巻き戻してからPLAYボタンを押す。
P記録、再生、巻き戻しが正常に行われているか確認する。
QFFボタンを押す。
R早送りが正常に行われていることを確認する。
1.10録音レベル手動調整機能の確認
@VTRコントロールパネルのAUDIO INスイッチを「FRONT」にする。
AAUDIO SELECTスイッチを「MAN」にする。
BAUDIO LEVELつまみを回す。右に回すと、レベル表示が大きくなり、左に回すとレベル表示が小さくなることを確認する。
1.11タイムコード、ユーザービットの確認(任意)
@DISPLAYスイッチを「UB(ユーザービット)」にする。
→ユーザービットとは、16進数8桁までの情報(日付、時刻、シーン番号など)をテープに記録・設定する事である。
→タイムコードとユーザービットを両方使用する時は先にユーザービットを設定すること。順番を逆にすると、ユーザービットを設定している間、タイムコードのジェネレーターが停止するため、タイムコードがずれてしまう。
→ユーザービットの設定方法については「Ikegami HL-DV5/HL-DV7Wオペレーションマニュアル5.7ユーザービットの設定」を参照すること。
Aタイムコードを設定する。
→タイムコードの設定方法については「Ikegami HL-DV5/HL-DV7Wオペレーションマニュアル5.8タイムコードの設定」を参照すること。
BTCモードスイッチ-2を「R-RUN」にする。
Cカメラ前面のVTR STARTボタンまたはレンズVTRボタンを押す。テープ走行とともに表示 窓の数値が変わることを確認する。
Dカメラ前面のVTR STARTボタンまたはレンズVTRボタンを再度押す。そしてテープが止まり、表示窓の数値が変わらなくなることを確認する。
ETCモードスイッチ-2を「F-RUN」にする。表示窓の数値がテープ走行に関係なく変わることを確認する。
FDISPLAYスイッチを「UB」にする。設定したユーザービットが表示窓のカウンター部に表示されていることを確認する。
1.12ビューファインダーの視度調整
カメラマンの視力に合わせて、ビューファインダーの視度調整をする。
→視度調整レバーを押しながらスライドすることで、各々の視力に合わせたビューファインダー
の画像がはっきり見えるようになる。
2.撮影
2.1 (現場到着)前項の各項目についての点検と確認
2.2ブラックバランス・ホワイトバランスを合わせる
→オートホワイトバランス(AWB)、オートブラックバランス(ABB)とは、R,G,Bの白レベルあるいは
黒レベルを自動的にセットする機能である。
【オートブラックバランスの実行】
→ブラックバランス(ABB)の調整は次の場合のみ必要である。
◆本機を(本日)初めて使用する時
◆周囲の気温差が大幅に変化した時
次の場合はオートブラックバランスを実行する必要はない。
◆一時的に電源を切った時
◆照明の色温度が変わった時
なお、照明の色温度が変わった時は、ホワイトバランス(AWB)のみ実行すること。
【オートホワイトバランスの実行】
@AWB切替スイッチで、実行結果を記憶しておくメモリーを選択する。
・A : Achメモリー
・B : Bchメモリー
・OFF :
プリセット(3200K)の状態になる。このポジションにするとオートホワイトバランス
は実行されない。
A被写体の前部にグレーチャートもしくは真っ白な紙を提示し、ズームインでグレーチャートを
画面一杯に合わせる。
また、外部被写体が次の条件を満たしている必要がある。
◆白の部分が画面面積の10%以上あること。
◆画面に白レベルを撮るための被写体よりも、高いレベルの被写体が無い事。
◆ホワイトバランスをとる部分の映像レベルが30%以上あること
B光学フィルターつまみを、撮影現場の適正な条件に合わせて調節する。
1 : 3000K・・・主に室内で使用する。
2 : 5600K+1/16ND・・・NDフィルター(画像にコントラストを強調させるフィルター)。
晴れと曇りの中間程度の屋外で使用する。
3 : 5600K・・・画像が若干白っぽくなる。屋外全般にて使用。例外として屋内で使用する事もある。
4 : 5600K+1/64ND・・・NDフィルター。晴天時みたいな非常に明るい時に使用。
Cマニュアルアイリスの時、一旦アイリスをオートにする等、映像レベルが適正な値になるように設定する。
DAUTO W/B BALスイッチを「AWB」側に倒す。すると、オートホワイトバランスが実行される。
オートホワイトバランスが終了するとビューファインダーの画面上に「OK」が表示される。
なお、「NG」が表示された場合はその原因が表示(CHG FILTER等)されるので、外部被写体がAの条件を満たしているか、フィルターの設定が適切かどうかを確認の上、Aから再度やりなおす。
@オートホワイトバランスを実行した後、AUTO W/B BALスイッチを「ABB」側に倒す。その時、レンズのアイリスは自動的にクローズとなり、オートブラックバランスが実行される。そして、調整値はメモリーに記憶される。
オートブラックバランスが終了すると、ビューファインダーの画面上に「OK」または「NG」が表示される。「NG」の場合は原因を取り除いた後、再度オートブラックバランスを実行する。
→また、ブラックセットの調整完了後、引き続き、自動的にブラックシェーディングの調整を開始するようになっている。
(詳しくはIkegami HL-DV5/HL-DV7Wオペレーションマニュアル4-1「オートブラックシェーディングの実行」を参照する事)
→オートブラックバランスの実行を中断する場合は、再度AUTO W/B BALを「ABB」側に倒す。実行中断により、それまで調整された設定はクリアされ、オートブラックバランス実行前の状態に戻る。
Aオートブラックバランス終了後、アイリスをマニュアルで操作している場合は、ブラックバランスを調整した後もアイリスはクローズのままである(つまり、画面が真っ暗になっている)。
なので、撮影に入る時にはアイリスをオープンにしてから行う。
<補足>オートブラックバランス実行中は、ビューファインダーの画面上にフリッカーが数回現れるが、それは故障ではない。
2.3シャッタースピードの選択
このカメラのシャッター機能には、あらかじめシャッタースピードが設定されているプリセットシャッターと、任意にシャッタースピードが設定できるバリアブルシャッターの2種類がある。また、垂直方向の解像度を上げるスーパーV機能がある。
<プリセットシャッター>
1/100,
1/120, 1/250, 1/500, 1/1000, 1/2000秒の6段階のシャッタースピードが設定できる。
<バリアブルシャッター>
1/60.3〜1/787秒の範囲で任意のシャッタースピードが設定できる。
→バリアブルシャッターはゴルフスイングをコマ落としで撮影するときや、パソコンの画面など、テレビと同期の合っていないものを撮影する場合に有効な機能である。
→スピードを高速にすれば、スポーツ取材中継などの動きの激しい被写体でもブレない高解像度のシーンが得られる。ただし、シャッタースピードがはやくなるにつれてセットできる間隔が広くなる。
<垂直解像度の向上(スーパーV)>
スーパーVとは、垂直方向の解像度を上げる機能である。
→スーパーVモードの時、カメラの感度が低下するので、十分な照明条件を考慮する必要がある。
→比較的、野外で撮影する場合が多い。
<シャッタースピードとフリッカの関係>
周波数が50Hzの東日本地域の蛍光灯などは1秒間に50回点滅をしている為、普通にカメラで撮影するとフリッカー(チラツキ)が生じることがある(インバーター付蛍光灯などでは、このフリッカーが発生しないこともある)。このとき、シャッタースピードを1/100秒に設定すれば、点滅とシャッターが一致し、フリッカーを回避する事ができる。フリッカーが生じた場合には、(多くは屋内撮影で全般的に)はシャッタースピードを1/100に設定すること。
<シャッタースピードと照明の関係>
シャッタースピードが高速になればなるほど、それに反比例して感度が低下するので、十分な照明条件を考慮する必要がある。
[シャッタースピードの選択方法]
@カメラメニュ→VF DISPLAY→DISPLAY
MODEを「1」か「2」に設定して、ビューファインダーにキャラクター(つまり、文字みたいなもの)が表示されるようにする。
→初期値は「2(常時キャラクターを表示)」
詳しい設定方法は「Ikegami HL-DV5/HL-DV7Wオペレーションマニュアル4.14 カメラメニュー」を参照すること。
ASHUTTER/SUP-Vスイッチを「ON」にする。
BSETボタンを押して、シャッターモードを選択する。
SETボタンを押すたびに、
プリセットシャッター→バリアブルシャッター→スーパーV
とモードが切り替わる。
Cロータリーパススイッチを回転させて、任意のシャッタースピードを選択する。
設定中は、シャッタースピードのキャラクターが点滅表示される。
シャッターモードを解除する場合は、SHUTTER/SUP-Vスイッチを「OFF」にする。
2.4ゲイン切り換え
被写体の明るさは常に同じではない。夜間撮影や真昼の太陽光の下など臨機応変にカメラのゲイン(感度)を切り替えれば被写体の明るさに応じた映像を得ることができる。
GAIN切替スイッチ 「MID」 : +6db・・・・ちょい明るい
GAIN切替スイッチ 「HIGH」 : +12db・・・・かなり明るい
ちなみに上記は初期値だが、GAIN切替スイッチの「MID」「HIGH」ポジションにそれぞれ任意の数値を設定することが可能である(詳細は「Ikegami HL-DV5/HL-DV7Wオペレーションマニュアル4.6ゲインの切替」を参照)。
2.5フォーカスあわせ
被写体にフォーカス(ピント)を合わせる。
→ピントを合わせる時は、被写体の中心となる箇所(人物なら目か鼻)に最大限までズームインをしておいてから(そのことによって被写界深度を浅くして)、フォーカスリングを回してピントを合わせる。このことで、正確なピントを合わせる事が出来る。
→この操作のために、このような時には、ズームの電動モーターはサーボではなく、マニュアルにして使う。
→被写体が移動する場合や、演出の意図によってフォーカス移動する場合は、あらかじめIN点とOUT点をビニールテープ等でチェックして設定しておくと便利。
2.6構図あわせ
ズーム、パンやティルティングを微調整して撮りたい構図を確定する。
→録画中にパンやティルト等、意図してカメラを動かす時には、あらかじめカメラリハーサルをしておく。
2.7アイリスの調整
アイリスを調整して、画像の明るさや被写界深度などを確認する。
2.8 VTRをスタンバイモードにする
VTR
STBY/SAVEスイッチが「STBY」に切り替えている事を確認する。
(待機時間が長い場合は、「SAVE」モードで待機すること。
2.9 録画
録画時には、「VTR /STARTボタン」を押し、録画を開始する。
→録画をストップをしたい時にはまた、「VTR/ STARTボタン」を押す。
3.撮影終了後
3.1アイリスをオートにし、OUTPUT切替スイッチを「BARS」に選択する。
3.2 VTR STARTボタンを押し、カラーバーを30秒〜1分録画する。
3.3録画を停止し、EJECTボタンでDVカセットを取り出す。
3.4フタを閉めて、電源をOFFにする。
3.5バッテリーを取り外し、充電する。
3.6カメラを三脚から外し、安全な所定位置に保管する。
3.7三脚を収納する。
*カメラ操作時の注意事項
4.1 カメラには必ずカメラマンか助手が付き添い、けしてカメラ単独で放置しない。
4.2 レンズのマクロボタンに手を触れた場合は、必ずフォーカスあわせをやりなおす(無限大=インフや、最接近撮影距離にして、最望遠から最広角まで、ピントのあいかたを確認し、「ヒキボケ」が発生しないように再調整する。
4.3絞りを開けた状態で不用意に明るいところへ持ち出して、CCDへの焼き付けを起こすようなことがないように気をつける。レンズの保護のためにも、使わないときはレンズキャンプをすること。
4.4強い衝撃をかけないこと。台車に乗せて、路上をゴロゴロと転がしたりしないこと。
4.5機器操作等において、機器に無理な力を加えたり、無理な姿勢で保持したりしないこと。
4.6 エラーメッセージが出ている状態で、使い続けない事。必ず原因を確認し、これを除いてから使用を再開すること。