11 露出とは

 

「露出」とは、フィルムやCCDなどの感光体が光にさらされる(露光)ことであり、その「露光量」が「映像の明るさ」を決定する。露出は基本的に以下の3要素で決定される。

 

 露光量 = 感度 × 絞り(レンズの明るさ) × シャッター速度(露光時間)

 

 フィルムカメラでは、「感度」は固定されていて、絞りとシャッター速度のかけあわせで、露光量が決まる。ビデオカメラの場合には、シャッター速度も通常は1/60秒に固定されているので、絞りだけのコントロールで「映像の明るさ」を決定することになる。ただし、ビデオカメラの場合には「NDフィルター」も「かけあわせ」の要素となる。

 これらの要素をカメラに自動的に設定させることもできるが、撮影意図を明確に表現するためには、基本的にはマニュアルに設定して自分で操作して決定すべきものである。

 

1.感度

  フィルムの感度の単位はISOで示される。

ビデオカメラの感光体(撮像板)であるCCDの感度は「ゲイン」によって決定される。

 

1.1 L/M/Hの切換について

  Z1Jの場合は、「L(ロウ)/M(ミドル)/H(ハイ)」の3段階で、それぞれ、

   L=0dbのゲイン(感度)アップ=ゲインアップをしないことを意味する

   M=9dbのゲインアップ

   H=18dbのゲインアップ

を意味する。ゲインアップを行なうと、具体的には「暗いところでも明るく撮れる」という利点があるが、画質が粗くなるという欠点もある。屋外撮影では「L」ゲインが基本だが、室内では「M」ゲインまではあげても良い。「H」ゲインは光量のひじょうに乏しい場合、ドキュメンタリーでは使ってもよいが、ドラマでは、できるだけ使わないことが望ましい。「L」ゲインで撮ったシーンと「H」ゲインで撮ったシーンは、編集で直接つなぐと、そのシーンだけの画質劣化が気になることがある。

 

1.2 NDフィルターについて

NDフィルターとは「減光フィルター」のことで「Neutral Density」の略である。Neutral=自然とは、この場合、自然な色に別の色を加えないという意味である。Density濃度の意味で、光の透過率のことを示す。すなわちNDフィルターとは、「別の色を加えることなく、濃度(光の透過率)だけをコントロールするフィルター」という意味で、NDフィルター=減光フィルター=色をつけずに光量だけを減らすフィルターのことである。

Z1Jでは、「ND切=まったく減光しない / ND1=1/6に減光する / ND2=32/1に減光する」となる。

屋外などで、光量が十分な場合には、ND2を使い、薄曇りなどの時はND2を、曇天や室内ではND=切のモードで使用する。減光することによって、絞りを開き、被写界深度を浅くして、背景をぼかしたい演出意図の場合などにもNDフィルターを使用する。

 

2.絞り

レンズの開口面積を調整することによって、レンズを通過する光量を調整する。絞りの値はF値であらわされる。F値が大きいと、被写界深度は深く、F値が小さいと被写界深度は浅くなる。

Z1Jのレンズの最も大きな絞り(解放絞り)は、ズームレンズ広角時にF1.6、望遠時にF2.8である。絞りをクローズにすると、レンズを通過する光量はゼロになる(画面が真っ暗になる)。

 

3.シャッター速度

CCDの電荷読み取り速度が、フィルムカメラのシャッター速度(露光時間)に相当する。露光時間が長ければ、露光量は増え、短ければ減じる。NTSC(日本やアメリカのテレビ方式)の場合、毎秒30フレーム=毎秒60フィールドなので、カメラのシャッター速度は1/60秒に設定して用いることが普通である。ただし、蛍光灯や水銀灯などのフリッカー(ちらつき)を減じるために、1/100秒にしたり(毎秒50ヘルツの電源周波数に同期させることで、フリッカーを感じなくすることができる)、フレームあたりの解像度をあげるために短いシャッター速度にしたり、光量が著しく乏しいときにスローシャッターにしたりなど、用途や効果によって変えることがある。