伊藤敏朗ゼミ2012年度作品 『千葉都市モノレール新型車両・アーバンフライヤー組立工程の記録』
伊藤敏朗ゼミ 2012年度作品 ドキュメンタリー
『千葉都市モノレール新型車両・アーバンフライヤー組立工程の記録』  (14分)

1.タイトル

タイトル [URBAN●FRYER〜アーバンフライヤー・組立工程の記録〜]
T(テロップ) [2012年12月16日]
T [千葉都市モノレール株式会社 車両基地]

2.車両の搬入

N(ナレーション) 「開業から四半世紀を迎える千葉都市モノレールが、満を持して導入した新型車両。
その最初の一編成、2両が、広島県三原市(みはらし)の工場から、陸路、運ばれてきた。」

N 「走行性能において、世界最高水準。
実用性のみならず、”人が乗ってみたくなる乗り物を開発する”というコンセプトのユニークさ、デザインの斬新(ざんしん)さ、省エネルギー、バリアフリーなど、さまざまな特色が注目を集める。」

T[Urban Flyer 0-type]

N 「その名も、アーバンフライヤー ゼロタイプ。
いま、ベールを脱いで、その姿を現そうとしている。」

N 「懸垂型モノレールの車両は、一般的な電車とは逆に、車体を上へ上へと吊り上げながら、組み立てられていく。
このような作業風景は、きわめて珍しい。」

3.リフティング・ジャッキ

N 「車体はまず、工場の2階より、少し上まで吊り上げられる。
その下に、”リフティング・ジャッキ”と呼ばれる台車を、もぐり込ませる。」

T[リフティング・ジャッキ]

N 「こんどは、車体をゆっくりと下ろしていく。
リフティング・ジャッキの上に、寸分(すんぶん)の狂いもなく、車体を載せる。」

N 「リフティング・ジャッキは、ゆっくりと走行しながら、車体を、工場の中心部へと運び入れる。 4基のリフティング・ジャッキは、正確に同期して動く。」
N 「2両目の車体も同様に、運びこまれる。 こちらは、連結部が、前になって入ってくる。 こうして、一編成2両の並んだ状態を、はじめて見ることができる。」
4.工場3階の作業

N 「工場の3階。
ここで、車両の天井に乗りながら、組み立て作業を進める。」
N 「懸垂型モノレールは、懸垂リンクと呼ばれる吊り下げ装置によって、線路にぶら下がることになる。
最初に、車体の屋根のリンク受けに、リンクの振れ(ふれ)を吸収するための、分厚い、”ストッパー・ゴム”を取り付ける。」

T [ストッパー・ゴム]
T [安全鋼索]

N 「懸垂リンクの中心には、太い鋼鉄製のワイヤーを取り付ける。
これが、”安全鋼索”(あんぜんこうさく)と呼ばれる、モノレールの命綱である。」

T [懸垂リンク]

N 「懸垂リンクをゆっくりと下ろし、リンク受けに組み込む。」
N 「懸垂リンクの上部に、”吊り管”(つりかん)を取り付ける。」
T[吊り管]
T[リンクピン]

N 「吊り管と懸垂リンクの位置をあわせて、リンク・ピンを打ち込む。
ピンが抜けないように、フタを取り付ける。」
N 「こうして、車体の上に吊り管が生えた状態が、できあがる。」
5.台車の設置作業

N 「工場の5階では、台車の設置作業が始まった。
台車には、すでにモーターとタイヤが取り付けられている。」

T[かご形三相誘導電動機]

N 「アーバンフライヤー・ゼロタイプのモーターは、”かご形三相誘導電動機”といわれるものである。
VVVF(ブイ・ブイ・ブイ・エフ)制御による、省エネタイプの、力強いモーターである。」

N 「台車を下から見上げると、走行用の4つの大きなタイヤのほかに、水平方向に取り付けられている4つの案内タイヤがあることがわかる。
つまり、一台の台車には、大小、8つのゴムタイヤがついている。
一両の車体に、台車は2台。
一編成2両の列車には、計4台の台車、32本のタイヤがついているわけである。」
N 「台車を架台(がだい)に載せて、電気配線や、エアホースの結束(けっそく)作業を行う。
台車の中心に、吊り管を挿入するための穴が開いている。
穴の内側に、モリブデン・グリースを、入念に塗る。
吊り管との摩耗(まもう)を防ぐための、重要な工程である。」
N 「配線、配管を終えた台車を、4階に下ろす。
モーターとタイヤを含む、台車一台の重さは、4.5トン。ゆっくり慎重に下ろしていく。」
N 「工場の4階が、モノレールの線路の高さである。
その走行路面に、走行タイヤが着地した。
走行タイヤの直径は1050ミリ、幅312ミリ。
左右一対(いっつい)の走行タイヤの中心距離は、880ミリ。
この大きな空気タイヤと空気バネが、モノレールの快適な乗り心地を生むのである。」

T [案内桁]

N 「走行路面に置いた台車を、作業員が転がしていく。
案内桁(げた)とよばれる、左右のレールの間に、案内タイヤが滑り込んでいくことで、線路の中心に台車がぴたりと運びこまれていく。」
T [駐車ブレーキ]

N 「いま、回って見えている銀色の円盤が、駐車ブレーキ。
列車が止まっている時は、この駐車ブレーキを、ブレーキシューで挟み込んで、タイヤが転がるのを止めている。」
N 「工場で見ると、左右の案内桁(げた)の間で、案内タイヤが果たす役割が、よくわかる。
台車の上にある、平らな金属板(きんぞくばん)が、パンタグラフである。」

T [パンタグラフ]

N 「これが跳ね上がって、線路の桁(けた)の中の架線)かせん)から、電気を集める。
このような構造は、ふだん、すべて、線路の桁の中に収まっているので、モノレールの外観は、すっきりと美しいものになる。」
6.台車と車体のドッキング

N 「位置をあわせた台車の中心に、吊り管が下から挿入されてくる。
穴の中心に、吊り管の歯車状の先端部分が見えている。
ここが、1両の車体の重さの半分を、支えることになる。」
N 「吊り管を装着した車両が、リフティング・ジャッキによって、3階の高さに、ゆっくりとせり上がってくる。
この映像は10倍の早送りである。
作業員が、吊り管をバールで叩きながら、位置を正確に修正していく。
こうして、台車と車体が、ドッキングする。」
N 「吊り管の中心に見えている十字のミゾは、安全鋼索のネジの部分である。
最後に、安全鋼索の張り具合を、作業員が手で、微調整する。
こうして、ドッキング作業の完了となる。」
7.完成した車体

N 「丸一日続いた組み立て作業によって完成した、アーバンフライヤー・ゼロタイプ。 空に吸いこまれそうな、鮮やかな青のボディ。」
N 「落ち着いた、くつろぎを感じさせる内装。
先頭部の床に、地上を眺めるためのガラス窓があるのも、大きな特徴だ。
このあと、走行テストが繰り返され、デビューの日を待つ。」
8.出発式と走行場面

T [2012年7月8日 新型車両出発式・記念式典]
T [千葉都市モノレール株式会社 大澤雅章 代表取締役社長]

大澤社長インタビュー 「本当にね、待ち望んでいました。5年間、ずっとこう積み上げてきた車両ですので、今日デビューして、有り難いです。皆様に、是非、愛して頂きたいと思っております。」
出発式司会者 「千葉モノレール、新型車両の営業運転、スタートです。どうぞ。」
N 「2012年7月、アーバンフライヤー・ゼロタイプの営業運転は順調に滑り出した。」
N 「千葉の空を駆け抜ける、美しくも逞しい(たくましい)アーバンフライヤー・ゼロタイプ。
人々の夢とよろこびを乗せて、今日も快適に、安全に、走り続ける。」

9.エンドタイトル

エンドタイトル [URBAN●FRYER]

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