▼映像コミュニケーション論
シラバス

映像コミュニケーション論 (必修・4単位)  
伊藤 敏朗
情報文化学科・2年・通年

講義のねらいと概要

 映像情報が洪水のように流されている現代において、賢いオーディエンスとして、映像メディアといかに能動的・創造的に関わっていく力を身につけるかはきわめて大切なことである。そのためには、映像メディアの送り手の側のテクニックや発想などについても学び、これにたいする優れて批評的な洞察力を養うことが活路になる。
 本講義の前期では、まず、映像表現の原理や、メディア技術の発達について学ぶ。つぎに、言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションの比較とそれぞれの特色について取り上げ、その心理学的特徴について考える。そして、映像メディアがもたらした社会や個人の中のイメージ・価値観への影響力などについて考える。
 後期では、わが国ならびに諸外国における映像作品(映画のみならず、ニュース・ドキュメント・コマーシャルほか)をさまざま上映・鑑賞し、つくり手の手法や発想のあり方を知り、コンテンツへの批評・評論法についても学ぶ。またそれらの映像作品のバックボーンとなっている各国文化の特色や、映像表現としての相違点や共通点などについて考える。そのほか、多様な分野における多様な映像メディアの利用の実態, 映像情報の保存と管理, データベースやライブラリーの構築と活用法, 映像文化・産業の育成のための各種施策, 障害を持つ人々への支援のための映像利用など、映像メディアと社会との関わりの諸相について考えていく。

講義の方法

 前期はできるだけ多くのビデオを視聴し, その映像の中から問題点を取り上げて検討していく。講義で得た各自の理解力・批評眼を活かし,夏季休業期間中に,「私が考える"映像コミュニケーション問題"」と題するレポートを全員に課す。後期授業では,講義と並行しつつ,この提出レポートの中から幾つかを授業中に発表してもらい,全員で討議していく。

テキスト・参考図書

 テキストは使わない。 参考図書はその都度紹介する。

評価の方法

 講義中の小レポート, 出席率, レポート「私が考えた"映像コミュニケーション問題"」,学期末試験の成績などから総合的に評価する。

他科目との関連および受講上の注意

 ほぼ毎回の授業で小レポートを課すので,必ず毎回出席すること。 また,前述の「私が考えた"映像コミュニケーション問題"」と題するレポートでは,映像番組の録画テープ等の添付を求めるので,VHSテープ1本(程度)を各自負担すること。

講義計画/各回の講義テーマ

  1 映像コミュニケ―ションの特性(1)
  2 映像コミュニケ―ションの特性(2)
  3 映像表現の基礎(1) レンズの特性
  4 映像表現の基礎(2) 光学の原理
  5 映像表現の基礎(3) カメラの表現力
  6 映像メディアの発達と手法(1) 写真1
  7 映像メディアの発達と手法(2) 写真2
  8 映像メディアの発達と手法(3) 映画1
  9 映像メディアの発達と手法(4) 映画2
  10 映像メディアの発達と手法(5) テレビ・VTR1
  11 映像メディアの発達と手法(6) テレビ・VTR2
  12 映像作品の制作(1) シナリオと絵コンテ
  13 映像作品の制作(2) 映像制作教育の意義 
  14・15 まとめ
  16 社会と映像(1) メディアリテラシー
  17 社会と映像(2) 教育と文化
  18 社会と映像(3) プロパガンダ
  19 社会と映像(4) 消費
  20 映像表現の発達(1) アニメーション1
  21 映像表現の発達(2) アニメーション2
  22 映像表現の発達(3) 特殊撮影1
  23 映像表現の発達(4) 特殊撮影2
  24 映像メディアのパブリックポリシー(1) 映像教育
  25 映像メディアのパブリックポリシー(2) 映像文化の育成
  26 映像コンテンツの分析と評価(1)
  27 映像コンテンツの分析と評価(2)
  28 映像コンテンツの分析と評価(3)
  29 映像コンテンツの分析と評価(4)
  30 まとめ