2003.11.22

東京情報大伊藤ゼミ 自主制作映画コンテストで大賞
苦労の1年、大きな成果
カメラワーク明るい作風 学生の熱意伝わる

 故黒澤明監督ら世界的な巨匠がロケを行ったことを記念して、長野県上田市で開催された全国的な「うえだ城下町映画祭」の自主制作映画コンテストで、千葉市若葉区の東京情報大学学生らが初めて制作した作品が最高の「大賞」を手にした。クレーンなどを使った高度なカメラワークと、「明るくて分かりやすい」と作品が評価されたもので、学生たちは、「プロも参加していた中で、予想外でびっくりしました」と、うれしさもひとしおだ。

 作品のタイトルは「さよならサクラFM」。倒産寸前のFM局を舞台に、その立て直しに奔走する局員の姿を描いた青春コメディーだ。

 総合情報学部で映像を専門とする伊藤敏朗講師のゼミナールの学生たち十六人が中心に制作したもので、メンバーの大半が映画制作も演技経験もはなかったが、クレーンで難しいアングルの撮影をこなしたり、レール上にカメラを設置し、被写体をさまざまな角度から撮影するなど本格的な技術に挑戦。撮影機材も専門的なものを使用した。

 同コンテストの審査員のアニメーション作家の鈴木伸一さんは「カメラアングルやBGMなど撮影技術はとても優れている。物語を理解してもらおうという気持ちが伝わってきた」と講評し、大学生の熱意に拍手を送っている。難解な自主制作映画が多いなかで、「明るくて分かりやすいコメディー」を追求した姿勢が評価された。

 映画祭は地元では恒例だが、自主制作映画コンテストは今年度に新設されたばかり。全国からプロアマ問わず四十六本の力作が寄せられ、他の監督の作品を見たメンバーの中には、翌日の審査結果は見ずに帰ろうとした人もいたほどだ。

 「他の作品を見るだけで勉強になった。大賞なんて思ってもみないお土産をもらってうれしい」と監督を務めた同大四年の増田有記さん(23)は話す。

 制作は一年の長期にわたったため、メンバー内で制作方針をめぐり対立もあった。主演の同大四年、間瀬夢子さん(21)は「意見が衝突したことも、制作する上での苦労も、すべての経験が今の自分の財産になりました」と振り返る。

 同作品は大学紹介用のDVDに収録され、誰でも見ることができる。