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周辺機器

コンピュータは、当初は専ら科学技術計算に用いられたが、徐々に用途が 広がり、それにつれて様々な周辺機器が開発された。周辺機器は、利用者が 直接触れるものが多く、使い勝手、生産性、快適性などに大きく影響するため重要である。ここでは、現在パソコンで利用されている主な周辺機器について解説する。

入力装置と出力装置

周辺機器をごく大まかに分類すると、何らかのデータをパソコンに入力する 装置とパソコンからデータを出力する装置に分けられる。また、入力と 出力を兼ね揃えた装置もある。

入力装置

利用者がパソコンに指示を与える装置だけでなく、CD-ROMドライブのように記録メディアに記録されたデータを読む装置もある。扱う物の種類により分類すると以下のようになる。
種類装置例特徴
キーを打つキーボード確実に入力できる。携帯性に劣る。
位置を指示する(ポインティングデバイス)マウス、トラックパッド、トラックボール、タブレットとっつきやすい
マイク音声認識はとっつきやすいが確実性に劣る
映像ビデオカメラビデオチャット等用に比較的安価なUSBカメラが出回っている
紙、画像スキャナ、デジタルカメラデジタルカメラから入力はフラッシュメモリカードを使うことが多い
記録メディアCD-ROMドライブ、DVD-ROMドライブ

出力装置

種類装置例特徴
映像、画像LCD(液晶ディスプレイ)、CRT(ブラウン管) 省スペースになるLCDは普及しはじめており、徐々に安価になってきている。 有機ELパネルの普及も期待されている。
音声スピーカー2chステレオだけでなく、5.1chサラウンドのものも多い。
プリンタ、プロッタインクジェットプリンタ、レーザプリンタなどが普及している。プロッタはペンで線を書く装置で主に製図で用いられている。

入出力装置

データを記録するための装置(補助記憶装置)と、入力装置と出力装置が合体したものがある。
種類装置例特徴
円盤状記録HDD(Hard Disk Drive)、FDD(Floppy Disk Drive)、 CD-R/RWドライブ、DVD-R/-RW/+R/+RW/-RAMドライブ、MO任意の場所に高速にアクセスできる(ただし、CD-Rなどは追記記録となり、自由な場所に記録できない)。
テープ状記録DDS, DLT記録容量当りの価格が安い。 サーバのデータバックアップに用いられることが多いが、パソコンではあまり普及していない。
入力装置+出力装置スキャナプリンタ、液晶タブレットスキャナプリンタはコピー機の機能を持つものが多い。

ネットワーク機器

ネットワーク機器は、他のパソコンとつないだり、他の周辺機器とつなぐものであり、 入力(受信)と出力(送信)ができるので入出力装置の一種と考えることができる。 最近はネットワークプリンタのように ネットワークを通じて周辺機器をつなぐことも多い。
種類装置例特徴
機器間接続ハブ、スイッチ、ルータネットワーク機器の間をつなぎ中継する装置
電話線モデム電話線を使って通信するための装置
プリンタネットワークプリンタ、プリンタサーバプリンタサーバは、ネットワーク機能のないプリンタをネットワークプリンタにする装置
サーバWebサーバ、ファイルサーバサーバは特定のサービスを提供するコンピュータである。

インタフェース

パソコンと周辺機器をつなぐ方式には色々なものがあり、これをインタフェースと呼ぶ。以前は特定の周辺機器をつなぐ専用のインタフェースが多かったが、最近は1つの方式で様々な周辺機器をつなぐことができる汎用のインタフェースが増えている。しかし、1つのインタフェースに統一されず、複数の汎用インタフェースが普及しているのが現状である。以下に各種インタフェースの解説をする。

USB

様々な周辺機器を接続するために開発された汎用インタフェース。 従来のUSB1.1は転送速度が最高でも12Mbpsと遅いことが問題だったが、 USB2.0になり最大480Mbpsに引き上げられた。 コネクタ形状はUSB2.0でも同様である。 USBコネクタには、主にホスト(パソコン本体)用と周辺機器用の2種類がある。

USB Plugs
左がホスト用、右が周辺機器用

IEEE1394

当初はデジタルビデオカメラなどの家庭電化製品の間を接続したり、 それらとパソコンを接続する用途で普及した。汎用インタフェースとして 設計されており、現在ではUSBと並ぶ主要インタフェースとなっている。

コネクタには、6pinと4pin(i.LINK)の2種類があるが、どちらも同じように通信ができる。 ただし、6pinの場合はケーブルをつなげば他の機器に電源供給できる(バスパワー) が、4pinはできない。家庭電化製品には4pinがついているものが多い。

IEEE1394 Plug
左が4pin(i.LINK)、右が6pin

なお、USBとIEEE1394はパソコンの電源を入れたままケーブルを抜き差しできる 「ホットプラグ」が可能である。 ただし、抜く場合にはOS上で機器の停止操作をしなければならない場合が多い。

UTPケーブル

LAN(Local Area Network)を構成する場合に広く使われているEthernetのケーブルであり、 Ethernetケーブル、LANケーブルと呼ばれる。 10Base-T,100Base-TX,1000Base-Tといった規格で通信され、それぞれ10Mbps, 100Mbps,1000Mbpsの通信速度である(全二重通信の場合はその2倍)。

100Base-TXで通信するためには、CAT5(カテゴリ5)規格、1000Base-Tで通信するためには、 CAT5eもしくはCAT6規格を満たしたケーブルを使う必要がある。 また、電話線のモジュラケーブルのコネクタ(RJ11)とは別物なので混同しないよう注意せよ。

UTP Plug Phone Plug
左がUTPケーブルのコネクタ(RJ45)、右が電話線のコネクタ(RJ11)

無線LAN

無線でネットワーク通信を行う無線LANが普及しつつある。 現在最も普及しているのは、IEEE802.11bで通信速度は11Mbpsである。 ただし数値ほどの実効速度は出ないので、Ethernetの10Base-T(10Mbps)ほどは速くない。 より高速な無線LANとしては、IEEE802.11a(54Mbps)、IEEE802.11g(54Mbps)がある。

VGAケーブル

Video Plug

モニタ(ディスプレイ)とパソコンとをつなぐケーブルである。 デスクトップパソコンだけでなく、ノートパソコンでもVGAコネクタが付いていて外部モニタに映すことができる。ただし、筐体の大きさの関係から変換アダプタを経由しなければならない機種も多い。

VGAケーブルに流れる信号はアナログであり、高解像度の画面やLCDでは不利になる。 このため、信号をデジタルで送ることができるDVIが登場し徐々に増えている。

PC Card

主にノートパソコンで使用するためのカードである。 厚さによってType I,Type II,Type IIIとあるが、大多数のカードはType IIである。 最近のノートパソコンはほとんどがType IIを一枚指せるスロットを設けているだけで、 Type IIIは指せないものが多いので注意する必要がある。 また、上位規格としてCardBusカードがある。これは従来のPC Cardよりも高速なデータ通信が可能である。

PC Cardは、デジタルカメラやMP3プレーヤー等に装着するには大きすぎるので、 Compact Flash, SD Card, Smartmedia, Memory Stick などのより小さなカードも普及している。これらのカードをPC Cardスロットに挿すアダプタが売られている。 また、それら専用のスロットを設けるノートパソコンも増えている。

PCCard and CF Card
左がPC Card、右がCompact Flash カード(スロットに挿した状態)

IDE

パソコン本体に内蔵する装置のためのインタフェースである。 原則として内蔵専用であり、パソコンに外付けする周辺機器には使えない。 1つのインタフェースに2つの装置しかつなげられないが、安価なため SCSIからIDEに置き換わっていった。転送速度により、Ultra ATA/33, Ultra ATA/66, Ultra ATA/100, Ultra ATA/133 と進歩してきたが、高速化が困難になってきたため、 Serial ATAという新たな方式が登場している。

使われなくなってきたインタフェース

以下に徐々に使われなくなってきたインタフェースを紹介する。 ここに挙げるものの多くは時代遅れであるが、長い間使われてきた規格が多く、 そうすぐには消えないと思われる。

SCSI

SCCI
SCSIコネクタの1つ
(D-sub ハーフピッチ 50pin)

1990年代では広く普及していたが、最近はほとんどがUSBとIEEE1394 (内蔵はIDE)に置き換わった。主にHDDやCD-ROMドライブ、MOを接続するのに使われた。今でもサーバやワークステーションなど信頼性、速度が要求される用途では広く使われている。

コネクタの種類が非常に多く、混乱の元になり面倒である。 ピン数も多く(50pin,68pin,80pin)、ケーブルが高価になる。

PS/2

PS2
主にキーボードやポインティングデバイス(マウスなど)をつなぐのに使われている。 最近はUSBに置き換わった機種が多い。

シリアルポート(RS-232C)

汎用のインタフェースとして古くから使われているが、多くはUSBに置き換わった。 外付けモデムを接続するのに広く使われた。

パラレルポート(セントロニクス)

主にプリンタを接続するのに使われた。 転送速度が比較的高速だったためにパソコン間の通信にも使われた。

装置ごとに使われている主なインタフェース

装置主なインタフェース
キーボードUSB, PS/2
マウス、トラックボール、タブレットUSB, PS/2
ビデオカメラUSB(USBカメラ), IEEE1394(DVカメラ), Ethernet(Webカメラ)
スキャナUSB, IEEE1394, SCSI
デジタルカメラメモリカード(Compact Flash, SD Card, Memory Stick, Smartmedia, xD Card)、USB
CD-ROM、DVD-ROM、CD-R/RW、DVD-R、MOドライブUSB, IEEE1394, IDE(内蔵)
LCD(液晶ディスプレイ)、CRT(ブラウン管)VGA, DVI-D, DVI-I
プリンタUSB, パラレル、Ethernet
HDD(Hard Disk Drive)IEEE1394, USB, IDE(内蔵)
FDD(Floppy Disk Drive)USB, フロッピーケーブル(内蔵)

インタフェースの今後

近い将来には、パソコンの内蔵HDD等の接続にSerial ATAが普及する可能性が高い。 また、パソコンの本体スロットには、現在PCIが普及しているが、より高速で柔軟な PCI Express が登場する予定であり、普及する可能性が高い。 また、無線による通信もUWB(Ultra Wide Band)技術などにより今後飛躍的な進歩が予想される。

今後も様々なインタフェースが登場し、主流も変化していくだろう。 日々新しいインタフェースや周辺機器について学び続ける姿勢が重要である。


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