2002年度作品 川口日出樹 監督作品 (制作:A hidekikawaguti film 配給:Imaginative Technology Offiece) TenShi上映時間 約30分 ジャンル ヒューマンシリアスドラマ
<作品紹介> 片田舎の大学に学部聴講生として通っている相沢涼子は、夫である相沢義則と共に夫婦として日常生活を送っていた。 ある日、大学から帰宅しようとする涼子は、道端で卒倒してしまう。それを目の当たりにした同級生の野口博之は、近くにある彼の姉、紀子の病院へ連れて行く。診察の結果、涼子は妊娠している事を告げられた。その日を切欠に、涼子と博之は友人としての仲を深めていく。 講義の空き時間、元気のない涼子を見かねた博之は、彼女を近くの海に来るまで連れて行く。しかし、その車内で二人が楽しげに話している光景を目撃した義則は憤慨。 何も知らずに自分のアパートに帰宅した涼子は、激怒した義則から暴力を受ける。それは、目を背けたくなるほど残酷なDomestic Violence(家庭内暴力)だった。義則から受ける仕打ちを、小さくか弱い体で受け止めるしかない涼子。 そして、町の産婦人科医院からの診察結果が妊娠三ヶ月であるという事を、義則に打ち明け祝福されるが……。 愛情表現の多様性と、人間の弱さ・儚さを描いたヒューマンシリアス・ストーリー「TenShi」 <監督コメント> この作品は、現在の自分の感情が直接反映された映画だと思います。 恋人や夫婦、両親から受ける愛情表現というのは、ただ単に「愛してる」等の言葉で表されるものではなく、自分を含むお互いの表現や行動やその場の空気、日常生活を通じて分かち合うものではないかと思います。時には、その愛情表現が「暴力」という手段で表される事もあります。それは相手に対して理解を求めたいという感情が肥大化したものであり、またそれは社会問題や戦争であっても同じことがいえるのではないでしょうか。 今だから言える事ではありますが、正直この作品を作る事はプロット(あらすじ)を執筆した時点で、クランクイン(撮影開始)を躊躇いました。公共性・社会性に欠けるのではないか、こんな漠然とした内容でうまく撮影できるのかと、危惧の念を抱きました。 しかし、制作意図を理解してもらい、常に私を叱咤激励してくれた同ゼミ生の親友の存在と影響はこの上もなく大きいものであり、作品を完成する事が出来ただけではなく、自分自身の成長の糧となりました。 この映画を観て、視聴者の皆様に少しでも何かを感じ取って頂けたのなら、私の次の制作意欲のモチベーションとなる事でしょう。 <TenShiポスター> ![]() |